達人伝説/嘉門達夫

20周年記念アルバム。
このアルバムには僕もいろいろアイディアを出したのですが
諸々の事情で上手く向こうに伝わらず歯痒い思いをしたので
今回はいつものレビューに加えて
裏話的なものを交えて書こうと思います。

1、引き笑い鳥 ゲスト:明石家さんま

次の「めっかちゃった!」へのフリのトラック。
それ以上でも以下でもない出来。

2、めっかっちゃった! ゲスト:明石家さんま

明石家さんまの有名なギャグ「めっかっちゃった!」を
嘉門達夫風にいろんな日常の「めっかっちゃった!」を
歌っていき、そこにさんまさんが「めっかっちゃった!」という
合いの手を入れるという歌。


んー…ちょっとメロディラインが暗すぎるかなぁ。
実はこれデモテープやアルバム発売前に嘉門さんが
一人でやったライブではもっとメロディラインが明るかったんですよ。
まぁ、歌じゃなくて語りだったんで
(「ワッチャー!&ひねりなさい」みたいな感じ)
曲を付けたんでしょうけど、もうちょっと明るく楽しい感じに
ならなかったんでしょうかね?
せっかくさんまさんとの共演ですし。

3、絶滅!ヤンキーの兄ちゃんの歌

そもそも、続編に無理があるような気がする。
「絶滅!」と言っておきながら、地方に居るヤンキーの兄ちゃん歌っているし。


そこから「コンビニの兄ちゃん」「オッタキーな兄ちゃん」と来て
最後「最近の兄ちゃん」で若者批判みたいな下りになってますが
なんか、凄い「イヤな面」を切り取ろうとしてて素直に笑えないんですよね。
もっと、かつての「ヤンキーの兄ちゃん」みたいに
ノーテンキなんがいいんですけど。


ちなみに「オタッキーな兄ちゃん」は僕が原案を送ったんですが
もうちょっと「オタクあるある」みたいなのにしたかったんですけどねぇ。

4、Mr.説教MANブラザーズ ゲスト:泉谷しげる

元々、泉谷さんがゲストに出るという話が出た時
「どんなんやねんアワー」を二人でやる予定だったんですが
僕が「せっかく泉谷さんと共演するなら、もっと怒鳴らせましょう」
という事で、かつて泉谷さんと共演した「怒りのグルーヴ〜震災編〜」で
嘉門さんが歌ってるバックで怒鳴り散らしてる泉谷さんが
めちゃめちゃ面白かった
のですが、あの曲アルバム未収録なので
今の政治に怒りまくる「怒りのグルーヴ」をやって欲しい
…ってアイディア出したら、こんなんなってまして
う〜ん、泉谷さんって怒鳴ったり暴れたりしてるイメージで
「説教」っていうのとはちょっと違うよなー。


あと、政治家そういうのに怒るんなら、まだカタルシスあるけど
怒ってる対象がスイカとかししとうなんでねぇ。
僕のアイディア採用して欲しかったなぁ。

5、神様 ゲスト:美輪明宏

惜しいなぁ…、新幹線のようなバカバカしい下りが
あと3、4個ぐらい欲しかった。

6、告白

「それはまるで」を髣髴させるような、
いろんな形容詞を日常のさまざまなモノに例えていく歌。


面白いんですが、嘉門さんって時々マジメな歌も歌うので
「告白」だとそういう歌に捉えかねない。
いっそ「例えて言うなら」にした方が良いのでは?
という提案をしたら「今時そのタイトルはないわ」
と言われました。


っていうか嘉門さん、別にそんなオシャレなタイトル付ける
イメージなんてないし(「替え唄メドレー」とか出してるし)
むしろ、そっちの方が「嘉門達夫っぽい」タイトルだと思うんですけどねぇ。

7、ゆけ!ゆけ!川口順子

最初アルペジオで始まるからなんの歌かなぁ?と思ったらこれかい!
でも「ゆけ!ゆけ!川口浩」ってあの新田一郎氏のトランペットが
重要な要素になってると思うんですよねぇ。


せっかくの20周年記念なんだし、
新田氏にトランペット吹いてもらったら良かったのに。
流石にそんな肺活量はもうないか?


内容も今までの政治ネタに比べると、イマイチピリっとしないというか
政治を斬るというより、「誰々が何に似てる」とか
単なる悪口になっちゃってると思うんですけどね。

8、誰がつるべやねん! ゲスト:笑福亭鶴瓶

「んなアホな!」や「ドアホ!」を鶴瓶さんにやらせたと言った感じ。
これはデモテープがそもそもこれだったので
その方向性で僕もアイディアを出したんですが
鶴瓶さんの活かし方ってこれでよかったんかな?
という気がちょっとしてます。


それにしても、mixiミュージックのこの曲の異様な再生回数はなんなんだ?w

9、青春フォーク替え唄メドレー

替え唄メドレーシリーズで久々のアタリが来ました!
いや、これは「替え唄メドレー、昔の方が面白かった」
という人も笑える一品です。


前も書きましたけど「替え唄」って「元歌の良さをどれだけ熟知してるのか?」
というのが重要な要素になっていて
フォーク世代だった嘉門さんにまさにドンピシャだったと思います。


嘉門さんがライブでこの歌を歌うとき「楽しい」って言ってたのが
凄い印象に残ってて、プロだからもちろん楽しいだけでは
いけないと思うんですけど、そういう要素も重要だと思うんですよ。
特に嘉門さんみたいな職業は。

10、プロローグ ゲスト:明石家さんま 久本雅美

「明るい未来」のプロローグ。
トラック分けする事はなかったと思うのですが。

11、明るい未来〜アルバムバージョン〜 ゲスト:明石家さんま 久本雅美

同時発売でシングルカットされた、このアルバムの代表曲。
元々、昔の情景を振り返るだけの歌だったんですが
プロデューサーの新田一郎氏が水戸華之介氏にサビの部分を
作らせて付け加えさせたんですが、
僕は前のバージョンの方が良かったというか
昔の情景を振り返ってるだけだったら
あとそれを聴いて、昔の人は「昔が良かった」と思うし
今の人は「ああ、昔はそういう風な感じだったのか」と思うし
そこは聴いてる人の自由なんですが
この作り直されたバージョンだと
「昔は良かった、それなのに今は…」みたいになってて
あんまり聴いてて、いい感じがしないんですよね。


ちなみに、間奏にある寸劇は本当は鶴瓶さんが
子供役を演じる予定だったのですが
(子供の名前「学」なのはその為)
どうしても合わなくて、嘉門さんが学役をやる事になったのですが
僕はこっちの方がよかったというか、
僕は嘉門さんが主役として出てないといけないと思うんですよ。
嘉門達夫名義でCDを出している以上は。
(でも、そのお陰で鶴瓶さんが出てるトラックが
「誰がつるべやねん!」と「妖怪ワールド」だけになってしまったのは残念ですが)

12、エピローグ ゲスト:明石家さんま 久本雅美

「プロローグ」同様、トラック分けする必要ないと思います。

13、せーへんか? ゲスト:笑福亭笑瓶

これ、デモテープの段階では嘉門さん一人で独り言のように
つぶやいていたんですが、そっちの方が良かったというか
最後の「せーへんか…」も自己完結してるみたいで
面白かったんですけどねぇ…。


笑瓶兄やんとだったら「笑う女」に収録されてた
「今日のブルース」の続編をやって欲しかった。

14、小市民21

だいたいシリーズものというのは
続編を作って行けば行くほどネタ切れになって
段々衰えて行くモノなんですが
この小市民シリーズは、ミニアルバム「小市民大全集」を
入れると凄い数の続編が作られているのですが
ちゃんと、完成度の高い作品が作られているのが凄いです。


あと、嘉門さんがパソコンを使ってアレンジした曲って
今まで打ち込みサウンド丸出しだったのですが
ちゃんとヴァイオリンの音を出しているのが凄いと思いました。


あ、でも今回「ゲストとの共演」がコンセプトなんだし
久々の小市民なんだから、小倉久寛さんとデュエットして欲しかった。

15、マーフィーの法則2003

さっきの「小市民」は9年ぶりの新作なので
まだ、このアルバムに入れる意義があるのですが
これはちょっと前に「ミレニアムの法則」という曲を出しちゃってるんでねぇ…。
ちょっと値打ちないかなぁ。

16、いろんなカーナビものまね大全集 ゲスト:コージー富田 原口あきまさ ジェニーいとう

元々、このトラックは「カーナビ集大成」として
今まで別々のアルバムに収録されて来た「いろんなカーナビ」を
集めたネタトラックだったんですが、いつもみたいに
ギターギャンギャン弾きながらやってたんで
「どうせ、再録するなら、もっとリアリティ出しません?」
ってなってSEとか入れて本当のカーナビが変な指示
(「さっきの交差点右」とか「次の交差点上」とか)
を出して行って、その流れでさんまさんや鶴瓶さんが
カーナビになって変な指示出したら面白いんじゃないか?
と提案したら、こんなんなってまして(苦笑)


まず、さんまさん、鶴瓶さんが出てるのに
コージー、原口にものまねさせるのはどうかと思うし
それに、本来「いろんなカーナビ」では
嘉門さんが運転手としてツッコミを入れるのですが
(「遅いわ!」とか「ムチャ言うな!」とか)
今回、嘉門さんが一切登場してないんですよね。
でも「いろんなカーナビ」って嘉門さんの
運転手としてのポジションでのツッコミがないと
成立しないと思うんですが。


あと、さっきも書いた「嘉門達夫名義で出してる以上
嘉門さんがメインキャラとして参加すべき」だとも思いますし。

17、OK牧場 ゲスト:ガッツ石松

意味がわからんw
ガッツ石松をゲストに呼ぶなら
ガッツ石松伝説」のガッツ石松のセリフだけ本人が言う
ガッツ石松伝説〜ご本人バージョン〜」というのをやって欲しかった。


この時、まだ「エンタの神様」ではなわガッツ石松にインタビューする
パターンをやってなかった頃ですし。そういうやり方で
「こっちの方が本家やで」っていうアピールが出来たと思うんですよ。

18、引き笑い鳥2 ゲスト:久本雅美

「引き笑い鳥」の久本雅美バージョン。
でも、久本って引き笑いしないでしょ。

19、女心 ゲスト:久本雅美

久本雅美が女心を切々と語っていく曲。
でも、久本にただ喋らすんじゃなくて
嘉門さんの合いの手というのかツッコミが欲しかったなぁ。
(デモテープの段階では嘉門さんのツッコミもあったんですけどね)

でも、本当はせっかく久本と共演するなら
昔、関西ローカルの番組で二人で歌ってた
「ノリツッコミな夜」をやって欲しかった。

20、ショートソング&会話

・霊柩車
・だーれだ?
・英会話
・思春期
・ハニー
・遅刻
ハンバーガ
・洗剤のCM
・貼り紙
・機内アナウンス

これはこれだけ独立させて
SEとか入れてやるべきでしょうね。
ちょっと勿体無い。


・魚屋のラブストーリー
こんなん入れるなら「結婚披露宴」入れたら良かったのに。
いろんなゲストにスピーチやらせて。


・母さんの書き置き
・お腹の子
・貼り紙2

なんで分けたんだろう?


・なぞなぞ
・野球ファン
・タクシー
・カキ
・ミズテリーゾーン
・甲子園
・クイズ
・スポンサー
・ポチ

ぶっちゃけ文句なしに面白かったのこれだけかなぁ?
本当この頃の嘉門さんは物量作戦でやってますね。
まぁ、前作、前々作に比べるとだいぶ数は減ったのですが。

21、あったらコワイセレナーデ2003

ナゼか「リターンズ」や「コンビエンス」とカラオケが変わっています。
あっちの方が今風のホラーっぽくて良かったんだけどなぁ。
なんかこのカラオケ、ヨーロッパのオルガン引きみたいで怖くない。
ネタは「リターンズ」比べて遥かに面白いんですが。

22、イジワル系バンド ゲスト:大槻ケンヂ

これだけ、デモテープに比べて面白くなってますw
デモテープのは「ビジュアル系」というより
タイムボカンのエンディングみたいな歌になってましたから。


CDではちゃんとバンドっぽくなってますが
これはオーケンのアイディアなのかな?

23、ワケワカラン ゲスト:げんしじん

げんしじんって誰?」と思ったら
レム色とかが所属してるげんしじん事務所の社長兼芸人さんだったんですね。


でも、これ前のバージョンは嘉門さんのソロで
もっとロック調の歌で、そっちの方が良かったんだけどなぁ。
「ワケワカラン」ってげんしじんのネタでもあるので
(パクったというよりは単なる偶然だと思うですが)
それが後に判明して共演したのかな?


でも、「まちがってますよ!」が「CHAU!CHAU!CHAU!」になったパターンもあるので
ロックバージョンは、どっかのCD(カップリングでもいいから)入れて欲しいなぁ。

24、やめてくれないか?

何気に良作。でも、今回のアルバムのコンセプトを考えると
ちょっと浮いてしまってるかな?
「告白」もですけど。
この2曲は次のアルバムに回した方が良かったかも。

25、鼻からいろんなモノ

これはヒドイなぁ(苦笑)。
嘉門さんが一人で盛り上ってる典型的なパターンだもんなぁ。


本当は「新・鼻から牛乳」みたい歌が出来ればよかったんですが
思いつかなくてての苦肉の策なんでしょうね。


でも、それだったら「世紀末バージョン」を
元のアレンジ(ギターとオルガンのみの)で入れ直して欲しかった。

26、妖怪ワールド ゲスト:明石家さんま 久本雅美 泉谷しげる 笑福亭鶴瓶 ガッツ石松 笑福亭笑瓶 美輪明宏

一番ゲストを上手く使ってる気がする。
でも、泉谷しげるの時に「本当はいろいろ気を使っている」というツッコミの時に
「余計な事言うな!」ってツッコんで欲しかったなぁ。

27、鏡 ゲスト:美輪明宏

過去に発表した作品を美輪さんをゲストに取り直したコントトラック。
わざわざ、美輪さんをゲストに使う意味も、
大オチに使う意味も無いと思うんですが。


いや、確かに「過去作でもゲストを入れて録り直すのはアリ」だとは言いましたけど
それは「怒りのグルーヴ」とか「ガッツ石松伝説」とか「いろんなカーナビ」
の話であってこういう事じゃないんですけどねぇ(苦笑)。

総評

一言で言うと「いろいろ詰めすぎ」。
ゲストを活かしたアルバムにするのと
昔の作品のリバイバルという二つのコンセプトが
ぐちょぐちょになってしまった感じがします。


このアルバム発売前に貰ったデモテープでは
「ゲストを活かすコンセプト」のみで作られていて
そっちの方がシンプルで良かったのになぁ。


ゲストといえば、実は桑田佳祐もゲスト参加する予定だったのですが
出て無かったですね、何かあったのでしょうか?
しまったなー、クビになる前に聞いとけばよかったなー。
ちなみに桑田さんが参加するトラックは
しりとりで「あ」と「す」で返されたら
「アリーナー!」と「スタンドー!」としか
返さないというコント
だったのですが
僕はせっかく桑田さんと共演するなら
よく、嘉門さんの桑田さんのエピソードって
桑田さんがテレビで言ってる話と食い違いがあるので
(桑田さん曰く、嘉門さんの都合のいいように作りかえられてるらしい)
それをデュエットで歌ったら面白いなぁと思って
「ありがとう桑田さん」というアイディアを送ったのですが
嘉門さんから「そういう事やないねん」とすぐに没になってしまいましたw


青春 フォーク替え唄メドレー
青春 フォーク替え唄メドレー
明るい未来
明るい未来〜シングルバージョン〜