嘉門達夫アルバムレビュー(ビクター編)その3

コロムビア編」「ビクター編その1」「その2」の続きです。
今回は「娯楽の殿堂」から、ビクターラストアルバム「The Very Best Of KAEUTAMEDLEY」までの3枚です。

娯楽の殿堂

マンスリーCDリリース計画ラストアルバム…なのですが
これまで1年の間に9枚のCDをリリースしており、それでネタ切れになってしまったというのがよくわかります。
「これまで自分は作曲面に弱かったので、今回はそこにこだわりました。」という宣伝文句も
何かネタ切れゆえの苦し紛れにしか思えないんですよね。
まぁ結局「音楽面にチカラを入れた」の言うのは「井上大輔さんに作曲をお願いする」という事だったのですが
一つは嘉門達夫が歌う必然性がこれっぽっちもない、何の面白味もないCMソング「何かいい事起こりそう」
もう1曲は以前日記に書いた嘉門達夫の「一般人への黒い思い」を描いた問題作「芸能人に気を付けな!」
(実はこの曲の問題は歌詞の黒さではなくて、流石にそれを全面的に出すとマズいと思ったのか
全体的にボカしすぎて、一体何を言いたかったのかよくわからない歌になってるの所
で、ぶっちゃけ2曲とも見事に「井上大輔の無駄遣い」になってしまっていて
もうちょっと嘉門達夫の調子のいい時に井上大輔さんと何か作って欲しかったなぁと。
そこが非常に残念でなりません。
他に工藤隆作曲の「H系」(ライブでは上記の二つと続けて歌われたので、恐らくその3曲がアルバムの柱になんだと思う)
ですが、嘉門達夫恒例の「流行りそうな言葉に目をつけ歌にしたものの、思ったほど流行らなかった」という
「流行の読み違い」(今回のは「FUTAMATA」シングルバージョンに近い)を犯しております。


シングル曲も何曲か入ってますが「アイしてりんこスキりんこ」や「ススメ」のような
CMのために無理矢理作った曲が2曲も入っており
シングル曲ってアルバムの柱になりうるポジションでもあるのでこの辺しんどい。
また、マンスリーCDの第1弾「スモーキンブギ・レディース」の第2弾として
「賣物ブギ」の替え歌で「ときめきのワイドショー」が収録されていますが
「スモーキンブギ」同様、オリジナルより劣るという歌詞改変で微妙な出来。
(替え歌がそれではアカンやろと思うんですが)
第2弾、第5弾に続く「マーフィーの法則」の新シリーズ「究極のマーフィーの法則」が新録で入ってます。
これラジオ番組でやってた「法則のコーナー」のネタを集めたものなのですが
「語尾を変な言い回しにする」という「ラジオと言う閉鎖的な空間で生まれた、外に持ち出すとサブい」
ネタがそのまま収録されており、おいおいと。
(これなら営業でよくやってた「マーフィー」と「続マーフィー」を
ミックスしたverを入れた方が良かったのでは?と思う)


とまぁここまで書いてて、正直ネタ切れと勘違いが生み出した奇作になっており
正直とても人にオススメできるような作品ではございません。
(でも一時、このアルバムから中心に曲を選ばれたサービスエリアのみで売られてた
ベストアルバムとかあるんですよね)


そんな中ですが個人的にはカバー曲ではあるものの、楽しいあのねのねメドレー
「ネコニャンニャンニャン(達夫&伸郎バージョン)」
露骨な下ネタと時期的に腐ったネタを差し替えた
「サザン替え唄大メドレー(アルバムバージョン)」
あと、ショートソング勢が、「いつもの嘉門達夫」を堪能でき非常に安心して聴けます。
新曲では「シャワー浴びてくる」が、ネタ的にも今までにない嘉門達夫のパターンで
今回のアルバムテーマ「80年代のディスコサウンド」が唯一上手くハマったパターンかな?と。
まぁこれだけやって1曲だけかいって話なんですが。
新しい事にチャレンジすればええっちゅーもんちゃうでというエエ見本ですな。

伝家の宝刀

さて「マンスリーCDリリース計画」でネタをカラカラになるまで搾り出した後遺症が
ここで完全に出てしまいます。
前回のアルバムから丸1年かかりました。
そして中身を見てみると、とにかくショートソングがやたら増え倒しています。
まだ「ショートソングのみのアルバムをを作るつもりで、1曲1曲こだわって作りました」
ならいいんですが、「メイン曲とメイン曲の間の繋ぎポジション」というのは変わっておらず
それなのに曲数が激増し、それゆえにアレンジとかも増えた分おざなりになる
(ギターでメドレー形式でかき鳴らす)ので、
本当につなぎをかさ増ししたゆるゆるのアルバムになってしまっています。
(まぁ、それのお陰で僕の考えた歌もいくつか入ったのですが)


メイン曲の布陣も「ハンバーガーショップ」「ほっといてくれよ!」「怒りのグルーヴ」
という過去に発表した曲の焼き直しばかり。
なんか「そんなにネタがないなら無理してアルバム出さんでも」って思わせてしまう内容です。
いや本当に「かもかもかものすけ」と「笑顔を見せて」の両メイン曲でシングル出したらええやんと。


まぁそんなゆるゆるかすかすなアルバムの中で新曲「妄想」は前にも書きました
ギター1本のみでパワフルに歌い上げた名作。
また長い年月を経てようやくCDに入った「ハードボイルド劇場」も歌ではないのですが、面白いです。
(ただバックのアレンジがライブ盤のようなジャズではなく、
「あなたの知らない世界」みたいな恐怖をあおるようなのになってるのは残念)


あと個人的な想いとしてこのアルバムにはかつてヤンタンの人気コーナーだった
「もうええやろキミ!」がようやく歌になって入っています。
実はこれ僕が嘉門さんにずっと「この曲をアルバムに入れたい。僕に歌詞の改良をさせて欲しい」と
ネタのファックスをもらって、上手く歌になるように改変をして送り直すと作業をやって
ようやく入った作品だったのです。
…なのですが、僕がこの歌と言うかコーナーに執着したのは
嘉門達夫の作詞クレジットを見ると「ヤンタンオールスターズ」の名前が
「ラジごめオールスターズ」に比べて少なく、ヤンタンの常連リスナーだった僕は
それが凄く悔しくて、どうにか作詞クレジットに「ヤンタンオールスターズ」の名前を
増やそうと頑張ってたんですが、このアルバムが出来る遥か前
シングル「ススメ」のカップリング曲で、ヤンタンの「あったらコワイ」から派生した
大名行列」が入る際、「ヤンタンオールスターズ」の名前がなく
そのことを嘉門さんに訊いた所「もう今更エエやろ」という答えが返って来て
僕の「ヤンタンの名前をクレジットで増やす作戦」は儚く散ったわけです。


あと、これの最初にカレーのくだりが入ってたんですが
これちょっと前に関西ローカルの客入れする番組で「もうエエやろキミ!」をやった時に
ほぼダダズベリだった中で唯一ウケたのがこのカレーの奴なんです。
ただあの時ウケたやつは「入れた残った入れた残った」という動詞の繰り返しで
それが何度もご飯とカレーを入れ直してる絵が浮かんできて面白かったのに
CDでレコーディングされたのは「ご飯カレーご飯カレー」と名詞の繰り返しで
「それやと動きが頭に浮かんでこえへんがな!」と思った記憶があります。
そういう意味では色々悔いが残る作品になりました。

「The Very Best Of KAEUTAMEDLEY」

シングル「TK替え唄メドレー」がちょっと売れた記念に出したビクター最後のアルバム。
というか結局「替え唄メドレー」便りなのねと。
ただ一番売れた1,2,3,4はもう既に過去のアルバムに収録されており(つまり被ってる)
新録がそれ以降のデュエット、サザンのシングルver、TK、TK2と
正直アルバムを買わせるのには微妙すぎるラインナップだなぁと。


さっきアルバム「伝家の宝刀」の所で書きましたが、あの時に無理にアルバム出さずに
TK替え唄メドレーヒットの後にアルバム作っていれば、もうちょっと完成度の高いアルバムが
作れたのではないか?と思うと残念でなりません。
ちなみにあれだけ一世を風靡した「替え唄メドレー」のアルバムなのに
オリコン初登場98位、1週で消えてしまいました。アカンやん!w

総括

ビクター最後のアルバムレビューですが、最後3枚はどれも微妙な出来のアルバムになってしまいました。
それに比例して僕のネタが採用される率が上がったので、非常に複雑な想いではあるんですが(^_^;
さて、「替え唄メドレー」のアルバムを最後に替え唄メドレーからしばらく距離を置くのかと思ったら…。
次回「嘉門達夫アルバムレビュー(DAIPRO-X編)」お楽しみにってやるのか!?