嘉門達夫BOX~怒涛のビクター・シングルス

今年の夏ぐらいに買ったのですが、遅ればせながら感想を。
コロムビアのシングルコレクションが出て、ビクターのも発売を期待していたのですが
それよりだいぶ遅れて発売されました。


細かい感想は後ほど書くとしまして、まずは全体的な感想から。
嘉門達夫は正直「替え唄メドレー」三部作、及び「鼻から牛乳」二部作の
大爆発を除けばいわゆる「ヒット曲」に恵まれない歌手ではあったんですが
改めてシングルのラインナップを見てると、普通歌手と言うのは
シングル曲というのはいわゆる「メジャー受け」というのを意識して作られていて
マニアックなファンは「カップリング曲の方が好き」とか
「アルバムの○曲目のあの曲が好き」みたいな話題で盛り上がれるのですが
嘉門達夫の場合「シングル曲の方がアルバムに入ってる曲よりマニアック」なんですよ。
なのでマニアックなファンがよくいる他の歌手のマニアのような話で盛り上がれない、
じゃあかと言って、他の歌手のファンのカップリング曲やアルバム曲を
シングル曲に置き換えてそういう話が出来るのか?というと
そのシングル曲が「誰を向いて作ってるのかよくわからない」ので
「売れなかったけど、この曲いいよね〜」みたいな話も出来ないんですよね。
そこがファンを続けてヤキモキしてた部分でもあったんですが。

その「お前はどこに向けて発信しとんねん」という長年の謎
(本人らは「一般向け、一元さん向け」を主張してはいましたが)
がこのCDに付いてるブックレットでの嘉門達夫と田村充義の対談を聞いてると
もう完全に「サブカル」全開、いや最早中二病こじらせでしたからね。
まぁ今回自己破産で行方不明になって対談不参加の
当時の嘉門達夫のプロデューサー、新田一郎がそれの親玉なんで
恐らく誰も止めれる人間が居なかったんでしょうね。
嘉門達夫本人はちょこちょこアタマに「?」を浮かべながらやったのは
ちょいちょいヤンタンで語っていましたがw
「勝手にシンドバット」リリースのきっかけがファット・ボーイズって
本当に誰向けやねんって話ですからね。


そもそも嘉門達夫って「上方演芸」と「フォークソング」に精通してた訳ですから
やっぱり「ベタ」が一番輝くはずなんですが、カッコ悪いと思ってるのかなんのか
凄く「ベタ」を嫌がってる傾向があるように思えるんですよね。
(それで「中二病こじらせ」という表現を使わせてもらいました)
アルバム曲やライブだとわかりやすい「ベタ」な曲もあるんですが
これは「アルバムの中の一曲ならやってもいい」とか
ライブでお客さんを目の前にしてスベるのは流石に出来ないので
「ベタ」になるんだとは思うんですが。
本人名義で「CDシングル」という形で出すのなら
ちょっと洋楽をヒントにしたものとか
世相を斬ったもの(しかもだいぶひねった形で)にしたい
という思いが出ちゃうんでしょうねぇ。
だからアルバム「バルセロナ」から、あんなに有線でかかりまくった
ハンバーガーショップ」ではなく「FUTAMATA」を
シングルカットしちゃったりね。


で「替え唄メドレーシリーズ」のヒットで何かが変わるのかな?と思ったら
結局「替え唄メドレーシリーズを引っ張る」か「過去作のリメイク」ばかりが
目立つようになりましたからね(これは今でもその傾向がある)。
これはこれでどうなの?って思うんですよね。


それもこれも含めて、このCDは本当に「マニア向け」だとは思います。
ちょっと入門編としては適さないかなぁ?と。
そんなシングルコレクションも珍しいとは思いますがw


時間があれば1曲ずつレビューを書いて行きたいと思います。