嘉門達夫BOX~怒涛のビクター・シングルスDISC-1

それでは1曲ずつの感想をCD1枚ごとに書いて行きたいと思います。

1 結婚しようよ-彼女はもうすぐ26-

記念すべきビクター遺跡枚目のシングル…ですが、これの前のシングル「小市民」のブームを
引っ張る事は出来ませんでした。
昔、このCDのプロモーションの為にテレビに出ていたのを覚えてるんですが
どうも「小市民」のヒットを意識して「ほのぼの路線」で作ったという番組内での本人の弁なのですが
当時中学生だった僕は笑い所が一切わからず「え?なんで嘉門達夫こんな真面目な歌出してんの?」と思ったんですよね。
大人になってから「あー女が男に結婚のプレッシャーをかける歌か」と理解できたのですが。
完成度も高く面白い歌だとは思いますが、シングルとして「聴く相手を選ぶ内容」というのは致命的欠陥だと思います。

2 ドッヂボール

上記の「彼女はもうすぐ26」のカップリング曲。メインに比べるとわかりやすく、ノリもいい楽しい曲なのですが
メイン曲との繋がりがよくわからない。
恐らくアルバム「バルセロナ」の先行シングルとして適当に選ばれた曲だったんだろうなと。
いっそ「帰って来た小市民」で小市民引っ張ったらいいのにとも思ったり。

3 ヒラメ

で、そのアルバム「バルセロナ」の1曲目。
この頃はショートソングにはわざわざアレンジが加えられるか、もしくはライブ録音で
この曲も、こんな短いしょーもない歌なのにストリングスで演奏されており
バカバカしさがより一層引き立つ曲になっております。
他にもこのアルバムには「擬音小唄」という曲があって
歌詞のほぼ全てが擬音語で構成されているのですが
擬音語を歌った後にその擬音を連想させるSEが入っていて
なかなか「音楽遊び」として面白い実験作になっております。


ただ、近年アルバムに収録されてるショートソングはスタジオ録音で
嘉門達夫がギターでおざなりに弾きながらメドレー形式で歌うというものばかりで、
こういう「音楽的な遊び」が無くなってしまったのが
彼のミュージシャンとしての劣化に思えて仕方ないんですよね。

4 タリラリランロックンロール

天才バカボン」2度目のリメイク「平成天才バカボン」の主題歌。
注目すべき点はバカボンのメインキャストの方々と歌っており
クレジットにはないものの、富田耕生林原めぐみ増山江威子坂本千夏
千葉繁田原アルノという層々たる面子と共に共演(恐らく別録りでしょうけど)しております。
嘉門達夫のタイアップ曲と言えば鬼門と言えるぐらい駄作が多い中
やはり彼が幼い頃から親しんできた作品だけあって
嘉門達夫のタイアップ曲」としてはダントツの完成度を誇る局だと思います。
実際「替え唄メドレー」が発売されるまで、この曲がビクター移籍後1番の売り上げでしたから。

5 その日は朝から夜だった

そして「平成天才バカボン」のエンディング曲。
オープニングもですが、やはり「天才バカボン」という
超メジャーなフォーマットが敷いてあるだけにやはりハズレはないですよね。
幸い赤塚不二夫の代表作を前にして余計な我を出すことも無かったですし。

6 FUTANAMA(女性編)〜アッシーくんとツクシンボー〜

前述のアルバム「バルセロナ」からのシングルカット曲。
前の記事にも書きましたが、嘉門達夫ファン誰しもが「ハンバーガーショップ
だと思った中それを大きく裏切ってのこの曲。


当時「アッシーくん、メッシーくん、ミツグくん」など、女性がいろんな男性を用途に応じて
キープしてたという現象を、たまたまこの歌のコンセプトに近かったのでそれを織り込んで
シングル化という事なのですが、この曲自体がどう考えてもシングルに向かない曲なのであえなく討ち死に。
「ツクシンボー」という言葉がそこまで浸透しなかった(恐らく初期にはあったんでしょうね)上に
「ミツグくん」は最後にちょっと出て来ただけ、「メッシーくん」に至っては出て来てすらないので
流行を描こうとして描き切れてなかったのがよくわかります。
あとアルバムバージョンと比べると余計なセリフが入っててちょっとテンポが悪くなってるんですよね。
(なので後に発売されたベストアルバムにはシングルバージョンが入ってる)
個人的にそこが作品として一番致命的な欠陥かな?と。


これシングルカットを「ハンバーガーショップ」にしてたらなぁ。
前述の「タリラリランロックンロール」の発売がこれの1ヶ月前で
そこそこ売れたので、それを受けてヒットしてたと思うし、
替え唄メドレーの前に1曲でもヒット曲があれば
あの時にあんなにおかしくなる事もなかったのになぁって思うと
本当に凄く残念な作品なんですよね。

7 FUTANAMA(男性編)〜あの娘はファースト彼女セカンド〜

FUTAMATA(女性編)のカップリング。女性編は上記の通り駄作に成り下がってしまいましたが
(アルバムに入ってる方は佳作だと思います)、このカップリングはまさに「隠れた名作」。
あの当時の男性のホモソーシャルな感じを感情移入たっぷりで再現してくれています。
(フォローしときますと嘉門達夫に限らず、彼の年代の男性は多かれ少なかれそういう人種だった)
あと僕の世代だと「オレたちひょうきん族」で島田紳助がやってた
「さんちゃんさむい」のコントを髣髴とさせるくだりがあって
それで面白いと言うのもあるんですよね。

8 勝手にシンドバット

「勝手にシンドバット」のオケに乗せて、今でいう「チャラい男女カップル」の会話を
ラップに乗せて再現するという歌。
とこう書くと凄く面白そうなのですが、実際聞いてみるとすごく「コンセプトがわかりにくい」。
まぁ、ラップと言っても韻を踏んだり、同じフレーズを繰り返すとかじゃなくて
単に男女の会話をせわしなくラップで言うてるだけなので凄く聞き取りづらいんですよねw
せめてサビの部分でそんなカップルにツッコミを入れるフレーズでもあればいいんですが
なぜか「替え唄メドレー」基準の「語呂合わせ」ネタでいよいよもって意味が解らない。
そもそも元になった「ファット・ボーイズ(詳しくはブックレット参照)」って何やねん?って話ですしね。
日本でそこまで売れてましたっけ?聞いたこともないんですが。

9 夏のサマー

「勝手にシンドバット」のカップリング曲。
「最近の歌はやたら英単語がちりばめられている。
それを皮肉って本当に無意味な英単語をちりばめる」という歌ですが
これもコンセプトわっかりにくいなぁ。
微妙にTUBEへの皮肉の部分もあるんですが、それもわかりにくいw

10 温度

アルバム「リゾート計画」1曲目のショートソング。
本当にまんまの歌なんですが、ブックレットの「MEMO」の欄に
地球温暖化を直球で表現した」ってウソつけ!ただのダジャレやないか!w

11 やってミソ!

本当に「一体何がやりたかったんだ?」と表現するしかない曲ですね、これ。
まぁBOXに入ってるDVDにこれの元のCMが収録されているんですが
「これのCMソングをどうやって1曲にするねん!?」という
ほぼ無茶ぶりではあるんですがw
PVも入ってますが南流石さん振付のダンスがかなり不気味です。

12 ジミー&ハデー(リゾート編)

アルバム「リゾート計画」からのシングルカット。
まぁ今でもライブでやってる安定のナンバーで聞いてて非常に安心w
それにしてもこの曲「川鉄商事CMソングってあったんですが
見た事無いのでこの曲がどう使われてたのかが気になりますねぇ。
前述のやってミソ!のPVが収録されている「嘉門達夫がおもしろいそーだ」
にも収録されてないし(「三洋消毒」のCMは収録されているんですが)。

13 カラオケNo.1(with原田さとみ)

流石に3枚のシングルで我を出しすぎて大怪我をしたせいなのか
今回はだいぶ寄せてきましたw 実際ヤンタンとかでも
「カラオケあるあるネタ」を募集してましたし。
ただこれ前のシングル「やってミソ!」の前から作る話は出てたのですが
「やってミソ!」の発売を優先してるウチに
「第1次カラオケブーム」が終わって結局大コケしたシロモノです。
「鉄は熱いうちに打て」のわかりやすい見本となりました。
今聞いたら歌詞のバブル臭が凄いw

14 えのきだけ

アルバム「宴」の1曲目。もう「毛先が球」が懐かしいw

15 替え唄メドレー

そして誰もが知ってる代表作ここで登場。
今「替え歌」と言えば嘉門達夫ですが、実は彼がやってる替え歌って
それまでの「1コーラス」もしくは「サビの部分丸々」というのではなく
「1フレーズ投げっぱなし」という替え歌としては結構斬新なやり方で
それ故にウケたというのもあると思うんですよね。
元々このスタイルは「笑っていいとも!」の「ウチら陽気なミュージシャン」の時に
やってたもので、やはり「メジャー受けする要素」というのはどこかにあったんでしょうね。
ブックレットには元々アルバムに入れるつもりが許可取りに時間がかかりすぎて
シングルで出すことになったと語ってますが、それにしても
なぜこれをシングルで出すようになったのか?というのは語られておらず
(次のアルバムに入れてもいいわけで)そう考えるとこれをシングルで出したのは
何か計算があった訳ではなく「単なるまぐれ当たり」って可能性も十二分にあったわけなんですよね。

16 バイバイスクールデイズ

「替え唄メドレー」のカップリング。
嘉門達夫がCDというメディアで初めて発表したいわゆる「真面目な歌」ですが
「あの嘉門達夫が作った」という下駄を履かせないと成立しない稚拙な歌ですねぇ。

15 替え唄メドレー2

「替え唄メドレー」のヒットで許可が下りるようになった
演歌、アニメソングなど内容がバラエティに富んでいて
個人的にはシリーズ中一番好き。
ただ「昴」の替え歌で完全に「口」を忘れてるのが凄く気になりますがw

16 血液型別ハンバーガーショップ

今でもライブで歌うとそれなりにウケるネタで
「日本人って血液型別性格診断好きねー」って実感する作品。
シングルCDにわざわざ歌詞カードが別紙で入ってて台詞まで書いてるんですが
「○○やないかい!」という関西弁のツッコミが
「○○やないかぇ!」ってなってて(これは他の作品もそうなので
嘉門達夫本人が書いてるものと思われる)、そこに凄い違和感がw

17 カラオケNo.1(LONG VERSION)(with原田さとみ)

本来は「カラオケNo.1」のカップリングですが、最後に収録。
ヤンタンでコントが入ってるって言ってて、最初それを聞いた時に
曲の途中でコント入りするのかと思ったら、前にカラオケをテーマにしたコントやって
それが終わってから、シングルの「カラオケNo.1」がそのまま入ってるという
もう後ろいらんやん!コントの所だけ収録しろよ!と当時思った記憶がw
歌同様、コントもバブル真っただ中に流行ったカラオケの様子だなぁというのを
ひしひしと感じる内容になっております。

総評

大失敗連続からようやく「替え唄メドレー」のヒットが出るまでの1枚目。
本当にそこに辿りつくまでがキツイキツイ曲の並びになりましたw
さてそのブレイクして以降が2枚目になるのですが、それはまた後日に。