嘉門達夫BOX~怒涛のビクター・シングルスDISC-2

前回の続きです。CDBOXの2枚目ですね。ビクター1枚目のベストアルバムから
マンスリーCDリリース計画の直前までが範囲ですね。では曲ごとのレビューです。

1 アホが見るブタのケツ2

替え唄メドレーヒット記念にリリースされた「THE BEST OF KAMONTATSUO」に収録されてる新録曲1つ目。
6枚目のシングルレコード「ユカイなモッコリ」のB面ですが、オリジナルがこのベストアルバム発売まで
一切CDに収録される事が無かったので、僕の様なCD世代には初めて耳にする事になります。
元の「アホが見るブタのケツ」が時代的なもので1番Bメロ〜2番Aメロに共感できるくだりが少なかったので
歌詞としてはこちらの方が僕の世代には共感できるものが多くて楽しめましたね。
あとアレンジもオリジナルの新田一郎アレンジよりも、今回の工藤隆アレンジの方が好き。

2 あったらコワイセレナーデ(すごくコワイでバージョン)

ベストアルバム新録曲2曲目。「あったらコワイセレナーデ」と「あったらコワイセレナーデ2」から
ネタをチョイスしたベスト盤なのですが「あったらコワイセレナーデ」は上記の曲と同様に
CD化が長らくされなかったので、1のネタはこの曲で初めて聞きました。
まぁ、1には「お坊さんのアクアチェック」とか今聞いてもわかんない
当時の流行ネタが入ってるのでベスト盤にしたのは良いやり方ですね。
ただ「先が四角いソフトタンポン」のどこが怖いのか未だにわからないのですがw

3 替え唄メドレー3(完結編)

う〜ん…どうも1や2に比べるとネタのスカスカ感が否めないなぁ…。
艶姿ナミダ娘」の替え歌なんかは、昔からあるネタで
2に入ってた「渚のはいから人魚」と同じ作者(作詞:康珍化/作曲:馬飼野康二)なので
2に入れようと思ったら入れれたんですよね。
そのことを考えると2の時点で、もう3を作ることが決まってた。
それでネタを分配の仕方がマズくて、こんなスカスカになってしまったのかな?と。


あと、後半に今回の目玉として入ってる当時流行ってた
「WON'T BE LONG」と「ネオブラボー!!」の替え歌ですが、1ネタが長いだけでちっとも面白くない。
さらに新しく入った「歌が途中で変わるシリーズ」も
上手く似たメロディラインの曲を違和感なく並べたものの、特に変わった事が面白くないんですよね。
ライブとかでよくやってた鉄板ネタ(「水戸黄門→メリーさんの羊」とか)が
一切入ってなかったので許可取りの部分で全滅しちゃったのかな?と。
バカボン→アクロンは面白いけど、あれ凄い力技だしなぁ。


それでこのシングルのプロモーションの為にさんまのまんまに出演したのですが、
その時このシングルの宣伝でネタをやろうとするも、
せっかくのテレビなので許可が下りなかったネタをやろうとする嘉門達夫
明石家さんまが「CDに入ってるヤツやってよ」とツッコミ。
これは「CDの宣伝」として来てるのであれば、さんまの言う通り
「CDに入ってるネタをやる」のが正解なんですよね。
それを聞いて「あ、オモロイ!CD買お!」ってなるわけですから。
やはり、その辺さんまが長年トップを走り続けてられる理由なのかな?と。

4 んなアホな!

3のカップリング。「とにかく量で攻める」ってタイプの曲ですね。
というかこれ以後そういうのが増えたような気がします。

5 アカペラな夜

3のシングルと同時発売のアルバム「天賦の才能」の1曲目。
珍しく1曲目がショートソングじゃない。というかむしろ長いw
結構バカバカしくて好きな曲ですが、なんで途中で笑福亭仁鶴桂三枝(現・文枝)の
音源を入れたのか未だ謎。当時のアルバムのブックレットに
「関西以外の人には何の事かわからないかも知れませんが」って、関西人でもわからないからw

6 鼻から牛乳

「替え唄メドレー」の流れを受け、ようやく自身作詞作曲のオリジナルソングにもヒット作が。
1番の男性編がやたらリアルで(桂雀々の実話らしい)、2番の女性編になると急にネタくさくなるのが面白いですねw
たぶん嘉門達夫の「男女関係の描写」ってそれが一番ベストなんだと思います。


今聞くと「鼻から牛乳」の歌い方が原曲の「トッカータとフーガ ニ短調」に近かったり
2番の擬態語が「ティラリー」になってたり(当時、番組に来てたお便りは
「チャラリー」派と「ティラリー」派と二分してた)と色々な発見があります。

7 帰って来た替え唄メドレー4

上記の「鼻から牛乳」と両A面としてシングルリリースされた、もう一方の曲。
3の時のスカスカ感に「もういい加減ネタ切れか…」と思ったのですが
そんな思いを吹き飛ばすほどの完成度。
前回長いだけで面白くなかった流行歌の替え歌も今回は
「会いたい」「SAY YES」とも良い出来で
「歌が途中で変わるシリーズ」もちゃんと「変わった事が面白いネタ」がチョイスされています。
前作の不満が全て解消されていて、替え唄メドレーシリーズでは2の次に好きな作品です。


そういえば曲だけ、他のシリーズと違ってネタとネタの間の行が空いておらず
詰め詰めで書いてありますが、これは当時8cmシングルで出てたのですが
裏面の表に鼻から牛乳の歌詞が書いてあったために、この曲の歌詞はおのずと
裏面の裏に印刷されていて、さらにそこの左下に花岡万蔵のイラストが描いてあったので
本当にスペースがなくて、あんな詰め詰めになったんですね。
でもそれやったら両A面なんだし、裏面の表にこの曲の歌詞を書いて
鼻から牛乳は、替え唄メドレー2の「血液型ハンバーガーショップ」のように
別紙で入れたら良かったのにって思うんですよね。
鼻から牛乳ってセリフメインだからネタバレになっちゃうし。

8 鼻から牛乳-第2章-

売れれば第二弾が出るのはお約束ですが、今回「2」ではなく「第2章」になってるのは
当時のヒット曲「My Revolution -第2章-」のパクりですねw
なのでこんなタイトルの付け方をしたのはこれっきり。


全体的にテンポが速くなり「男女の修羅場」より「あるあるネタメイン」になったのですが
2番の女性の「あるあるネタ」が3つしか無くて、結局3番に前作のコンセプトに戻ってしまったのが残念。


ちなみにこの曲のPVはいろんな漫画家の人に協力を得てアニメ形式になってるんですが
嘉門達夫のPVの中でも上位に並ぶ出来なのですが、残念ながらDVDには未収録。
一応動画サイトとかで見る事は出来るんですけどね。無断転載ですがw

9 ショートソング・メドレー

8のカップリングなんですが、全部新作ではなく過去のアルバムに入ってるネタがほとんどで
「あーまぁシングル用かなー?」って思ってたらアルバム「怒涛の達人」にまんま入っててビックリした記憶がw


ちなみに「ミドリ」はアルバム「小市民宣言」に入ってる「素直にな〜れ」を
少々変えたものですが、僕は変える前の方がフリがきいてて好きです。

10 コンニチワ!

アルバム「怒涛の達人」の1曲目。
本人もブックレットでツッコんでますが、時系列順にシングル全曲(カラオケ除く)と
アルバム1曲目を入れるという決まりのせいで、こんなトラックが真ん中に来てしまうという妙な構成にw

11 デュエット替え唄メドレー(with浅田美代子

「替え唄メドレー」というより、ほとんど「歌が途中で変わるシリーズメドレー」みたいになってますがw
この曲にもPVがあって、内容は嘉門達夫浅田美代子が歌詞に合わせてコントをするというもので
それめちゃくちゃ面白いんですけど、今の今までDVDとかになってないんですよね(今回のDVDにも未収録)。
恐らく嘉門達夫のPVの中で最高傑作だと思うので、いつか商品化して欲しいものです。

12 ひとりぼっちのクリスマス(シングル・バージョン)(with和田弘とマヒナスターズ

アルバムからプロローグがカットされて収録されてるんですが
あれプロローグカットして、コンセプトわかるんかなぁ?(^_^;
あとずっと長年疑問に思ってたのが「『クリスマスソングをマイナーコードにして悲しみを演出する』って
のはわかるんですが、じゃあ『聖者の行進』何よ?」と。
あと「『ハレルヤ』アレンジ変わってなくね?」と言うのがちょっと引っかかる所でしたね。

13 Go!Go!スクールメイツ

ブックレットで本人も語ってる通り、コンセプトは「アホが見るブタのケツ」なんですけど
発売当初、ネタを聞いて思ったのは「英和辞典を引くときについついABCの歌を口ずさんでしまう」とか
「探してるページが一度で開くと超能力があるんじゃないかと思ってしまう」とか
それ「クラスにこんな奴おる」というより「自分がついついやってしまう」という
「小市民」のコンセプトなんちゃうの?と。
ネタにする対象が「他人」ではなく「自分」になってるので
ネタの破壊力が弱くなってるんですよね。
「小市民」のようなフォークに乗せてほのぼの歌うならいいんですが
アレンジが派手でテンポも速い分だけ、なんか歌詞の破壊力の無さが目立ってしまうんですよねぇ。
せっかく久しぶりのCMタイアップで、CMそのものもインパクトが合って
CMのイメージ沿った歌が出来たのにもったいないなぁ。

14 替え唄メドレー〜紅白バージョン〜

なんか「紅白バージョン」っていうのをCDに入れるミュージシャンってダッサイよなぁ(^_^;
なんかそれなら「怒涛の達人」からな「ワッチャー&ひねりなさい」でも「哀歌」でもよかったから
シングルカットして欲しかった。

15 NIPPONのサザエさん

元はコロンビア時代「小市民」のB面に入れる予定だった「サザエさんグラフティ」が
作者が鬼籍に入って権利が移ったために、改めてネタを付けくわえて蘇りました。
個人的に「サザエさんグラフィティ」にあった「波平さんは毛が1本 その1本にドライヤーを当てる」
のくだりがオミットされたのと、アナゴさんのくだりは
「マスオの同僚のアナゴさんは そりゃもうヒドイ顔」と二小説に分けて
引っ張ってたのが、途中で凄くさらっと流れるように歌われたのが残念だったなぁと。
まぁでも、歌そのものの完成度は上がってると思います。

16 ひねりなさい²

15のカップリング。味覚糖の「長いグミ」というまんまの名前の商品のCMソングで作られたものですが
個人的にはむりくり違うコンセプトを合体させた「ワッチャー&ひねりなさい」より
こっちの方が構成としてよく出来てると思います。
「ひねりなさい」はタイトルとツッコミこそメタですが要はダジャレなので
フリとして最初に入れて、そこから色々広がる方が展開として良いし
最後のいろんなツッコミセリフがいろいろ被さって終わるってのも面白いなぁと。
「隠れた名曲」とまではいかないものの「隠れた佳曲」ぐらいには行くかなと。

17 プロローグ

アルバム「NIPPONの楽しみ」の1曲目。「プロローグ」とはありますが
中身は単なる号令コントなので「コンニチワ!」ほどの違和感はないかな?

18 シマイ!!

プロローグが終わりの曲になるのはマズイと思ったのか
アルバムのラストタイトルがこれのみ収録されています。
つか、10トラック目に「コンニチワ!」入ってる時点で何を今更って感じですがw

総評

替え唄メドレーヒット後、ビクター1枚目のベスト盤から「天賦の才能」「怒涛の達人」「NIPPONの楽しみ」と
非常に嘉門達夫自身脂がノリまくってる時期で、ここに収録されてる曲もそれなりの佳作が続きます。
1枚目はエライ違いだw
ただ、収録曲のほとんどが「替え唄メドレー」か「鼻から牛乳」か「過去作の焼き直し」
ってのがちょっと引っかかるというか、後にシングルが全体的にそうなってしまうというのが
もう既にここに出てきています。
さて次は、僕自身も作詞者として参加した嬉しい思い出と
月一にでシングルをメイン、カップリング含め無理矢理絞り出して
いろいろ大変な事になった「マンスリーCDリリース計画」が始まったDISC-3に突入します。