嘉門達夫が吹っ切れない訳

最近の嘉門さんのCDを聞いてて思うのは
どうも吹っ切れていない感じがする。

もうあのブームからだいぶ経ってるんだし
そろそろ吹っ切れてもいい頃なんだけど
どっかカッコ付けてしまっている。

一体原因はナンだろうと思ってたんですが
恐らく「嘉門さんがカッコイイから」というのが
あると思うんですよ。

「おいおい、何キモチ悪い事を言ってるんだ？
この信者は？」と思うかも知れませんが
最後まで読んでください。
今の嘉門さんってビジュアル的には
金髪だし、ダイエットに成功してヤセたし
背も高い、あの年齢にしては
かなり若くてカッコイイ方だと思うんですよ。
たぶん、そういう店に行ったら凄くモテるでしょう。
つまり「カッコイイ」から「カッコ付けてしまう」
というのはあると思うんですよ。

あれが芋洗坂係長みたいにメタボな体系になって
頭もハゲ散らかしたら「笑い」という方向にも
吹っ切れたんだと思うんですけどね。

一応今でも「オヤジで悪いか！」みたいな
さも開き直ってるように見えるような歌を
歌ったりもするんですけど、
あんな世間で言う「オヤジ」とは
程遠いビジュアルで歌われても説得力ないですよね。
むしろ、そういう「オヤジ達」を見下してる歌にも聴こえる。

でも、嘉門さんって昔はそんなカッコ付ける様な
キャラじゃなかったじゃないですか。
それこそ「ゆけ！ゆけ！川口浩」の頃は
メガネにおおよそセンスがいいとは思えない派手なシャツ
頭もクセっ毛そのままのハクサイ頭だった訳で。

じゃあ、いつからカッコ付ける様になっちゃたのかというと
たぶんターニングポイントは
「平成天才バカボン」だったんじゃないかな？って思うんですよ。
あのCDのジャケットに描かれてるイラストって
まだ嘉門さんがメガネでハクサイ頭の
あの頃のイメージなんですけど
その後からメガネをグラサンに替え
スーツに身を包み、頭を固め出した。

だから昔の失敗作って「哀愁の黒乳首」とか
「ユカイなモッコリ」みたいに
失敗を笑える歌が多いんですけど
それバカボン以降の失敗作って
「FUTAMATA」のシングル版とか
「やってミソ！」とか「WE AER ROCK MAN」とか
失敗が笑えないんですよね、
微妙にカッコ付けてるから。
（昔一度ライブで「やってミソ！」を
自虐ネタにした所、スベった事がありますｗ）

この辺りから嘉門さんの口から
「シンガーソングライターと言われたい」
（今で言う「アーティストと言われたい」
という感じのニュアンスです）
というような言葉が出てくるようにもなりましたし。

結局、これってプロデューサーの新田一郎氏が
仕掛けた事なんですけど
たぶん、新田氏の頭の中では
今まで自分がスペクトラムでやって来た事と
嘉門達夫というコミックシンガーを
融合させようと思ったんでしょうけど
スペクトラムってたぶん影響を受けてるのは
洋楽のロックでしょ？
反面嘉門さんって、元を辿って行けば
日本のフォークじゃないですか。

そもそも合う訳がなかったんですよ。
いや、新田一郎プロデュース後
「替え唄メドレー」という
嘉門達夫の歴史史上大ヒットを生み出しましたが
あの唄も元をたどれば
カッコ付ける前に作ってたネタを
まとめてCDにしたモノですから
評価されたのは「新田一郎の仕掛けたモノ」ではなく
あくまで「嘉門達夫」の才能の部分なんですよね。
（ハガキ職人のネタのチョイスするセンスもひっくるめて）

だから、替え唄メドレーもシリーズを追うごとに
その「カッコ付けてる要素」というのが
どんどん出始めて、そこから失速して行ったんですよ。

で、そんなにカッコ付けたいなら
いっそ「コミックソング」の路線やめて
ガチ歌歌いに転向したらいいのにとは思うんですけど
嘉門さんがガチ歌歌うなら、それは完全に
フォーク路線じゃないですか。
でも、今のビジュアルって
もろロックミュージシャンで
フォーク歌うようなカッコではないわけですよ。
だからといって、ロックミュージシャンになるには
本人の「ロック」に対しての関心がどうも薄い。

以前「フォークで作った曲をロックにアレンジされた」
ってボヤいてましたしｗ

新田氏は新田氏でフォークに対しての理解がない。
以前嘉門さんがフォーク路線のガチ歌のCDを
出そうとしたら烈火のごとく怒ったらしいですからね。

いや、でもそのCDのデモMDみたいなの聞かせて貰ったんですけど
等身大の嘉門さんが表れていて
凄い良い出来だったんですよ。
上手く行けば、いい意味での路線変更に
なりうる作品になれたのに…と思うと
本当に新田氏は罪な事をしてくれたと思います。

本当は新田氏が今までやった事を
失敗として認め、今からでも
嘉門さんの路線変更の指揮を
とってくれればいいんですけど
あの人は嘉門さん以上に自分の失敗を
失敗と認めたくない人ですからねぇ…。
（いや、嘉門さんの金髪に対しては
最初反対してたらしいんですけどね。
でも、そういう風に嘉門さんがなるのを
仕向けたのはアンタやでって思うんですよ）

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