嘉門達夫「図星でしょ☆」

図星でしょ

図星でしょ

「かもたつ」の次に出たアルバム。
一応テーマは独身女性に向けての歌がメイン
といった感じなのですが、
(タイトルの「図星でしょ☆」もそういう意味が
込められてると推測)
はてさて。

1、ミレニアムの法則

要するに「マーフィーの法則」。
これまで「あったらコワイセレナーデ〜リターンズ〜」
「アホが見るブタのケツ〜エクストラ〜」
「替え唄メドレードラゴン」と
シリーズものの新作がイマイチだっただけに、
正直期待していなかったのですが
意外に出来が良かったです。


よくよく聴いてみると「それ法則か?」と思うのも
チラホラありますが、前作「究極のマーフィーの法則」で
「語尾をおかしなモノに変えるパターン」を入れてしまい
コンセプトがむちゃくちゃになった事を考えると充分了承範囲内です。

2、ナゼナノヨ ミステリアス

もうちょっとミステリアスなアレンジをつけて欲しかった。
なんでギター1本で処理するかな?(苦笑)


内容は率直に言うとテツトモの「なんでだろう?」なんですが
ネタの完成度はテツトモの方が上かな?

3、もう あの娘呼ばない

たかだかコンパの唄なのにアレンジが仰々しすぎる。


実はこの曲は「合コンにノミネートされない女たち」というタイトルで
嘉門さんがアルペジオを奏でながら
合コンのメンバー選びをしている様子を会話形式で
再現するというモノだったんです。


正直そっちの方が面白かったというか
合コンに縁のない人にも面白さが伝わりやすい感じだったんですよ。
CDに入ってるこっちの方は単なる「合コンあるある」で
合コン経験者しか楽しめないんじゃないか?って思います。


僕は基本的にはコントっぽいトラックはあんまり好きではないんですが
これに限っては「無理矢理唄にしてしまった事」が
改悪の方向に向かってしまったかなー?と。

4、美学1

まぁ、要するに「ハードボイルド劇場」ですな。
「渋い語り口調でしょーもない事を言う」というコンセプトは健在で
面白かったのですが。最後のツッコミキャラは要らなかったかな?
そのまま流してしまって、ツッコミは聴いてる人に
心の中でさせるべきだったと思う。

5、唄のワンダーランド〜図星バージョン〜

  • 電気のヒモ
  • 手品師

もうちょっとナンセンス度が欲しい。

  • 持ってないちゅーねん!パソコン

このネタ、ライブでやってた時はあと2つぐらいあったのですが
その当時、客席で聞いてて「メールって携帯のメールもあるのになぁ」
って思ってたら、これだけ残っちゃいました(苦笑)。


個人的には「アドレスハhttp:///…」「持ってないちゅーねん!パソコン!」
っていうのがあって、それで凄い笑ったのでお蔵入りになったのは残念。

  • 当たり前な実況中継

こういうのは没にするべきだと思う。

  • 大好きな彼女

この中では良い方かな?

  • 初詣

もうちょっと彼女がえげつない事を言うのを期待してたんですが。

  • コギャル

なんかタモリとかが言いそうなネタ。
わざわざCDに入れるほどではないか。

  • 昨日の何食べた?

「理屈くさいのはアカン」って散々僕に言ってたんですが
それを身を持って証明してくれました(苦笑)

  • ワル

古典だなぁ。

  • テレクラ

男の方がボケなのかツッコミなのかがハッキリしていない。
最後の「小野妹子」に「男やんけ」とツッコますなら
最初の歴史上の人物に自分を例えるの要らないと思う。

  • 予告編

「けろたんの冒険」だけかなー?面白いの。

  • チェックアウト

「ショートソングinボトムライン」に入ってる「床屋さん」の第二段。
「床屋さん」に比べるとイマイチかなぁ…。
これなら「床屋さん」入れて欲しかった。

  • 最悪

前作よりもわかりやすくなっています。
ただ、前に1曲としてクレジットしたものを
こうして、まとめて入れてしまうのはいかがなものかと。

6、鼻から牛乳〜世紀末バージョン〜

あのー、伴奏がうるさい。
なんでわざわざロックにアレンジしたんだろう?
せっかくのフリの部分も掻き消されちゃってるし
「チャラリー」のオルガンの音も目立たない。


ネタの方ですが1番は上手く携帯を使った、今の時代ならではの
鼻から牛乳」を描けてたんですが
2番がちょっとアイテムが変わっただけで
前と展開がまるっきり一緒なのはどうかと。
しかも、終わり方がなんか途中で終わってるというか
もうちょっと続くだろうという部分で無理矢理切ってる気がするんですけど。
前作の「いつものように早く縛ってー」クラスのオチを期待してたんですが。

7、これは何かの陰謀だ

惜しい!コンセプトもいいし、メロディラインもキャッチーでいい感じなんですが
ネタが弱い。たぶん、全盛期の嘉門さんを知ってる人は
さらに一段階上のネタを期待すると思うんですよ。
でも結局「既にいろんな人が言いまくった手垢の付いた所」
をなぞって終わってしまった感じで…。


要因の一つに「主人公を女性にしてまった」というのもあるんでしょうね。
どうも嘉門さんは女性を主人公にした歌を作ると
ネタがベタベタになってしまうという傾向があるようで。
でも、元々この唄はライブでやってた時って
いつものように嘉門さんが主人公で
男とか女とか関係ないネタやってたんですけどねぇ。


僕としてはゼヒ、元のコンセプトに戻して
「ナリ天」でネタを募集して欲しいですね。
絶対面白い唄になると思うんですよ。

8、理想のタイプ

面白い。今までの流れで単に「理想のタイプをつらつら言ってるだけの歌」
かと思いきや、最後に裏切ってくれます。
昔「小市民宣言」というアルバムで
「何を言うとんねん」という似たコンセプトの唄がありましたが
12年かけて、ようやくこのテーマを完成させたという感じですね。


ただ、最後に凄い悪意のこもった歌い方をしてるんですが
あそこはもっとさらっとした歌い方をした方が良かったと思う。
っていうか引くw

9、OTASUKE-MAN

これいいなぁw
嘉門さんはこういう細かい所を突付かせたら日本一ですねぇ。
嘉門さんは未来永劫ずっとこの路線でいいと思います。

10、あるか?イヤない!

なんか凄いパワーだw
この無意味なパワーは「お前らには負けへんで」や
「妄想」に匹敵するモノがあります。


ギター一本でこれだけパワフルに出来るという事を
ギター一本のみで製作した「かもたつ」の次のアルバムで
やりとげてしまうのは何とも皮肉な話ですが(苦笑)

11、オバサン1号

この唄、元々「オジサン1号」というオジサンをテーマにした歌だったんですよ。
それがオバサンになるのはまぁいいんですが
所々に前のなごりというか「それはオッサンの方やろ」
って思うのがいくつかあったので
その辺は徹底して欲しかったです。

12、美学2

パート1だけで良かったなぁ。

13、唄のワンダーランド〜でしょ☆バージョン〜

こういうたぐいのネタは唄向きじゃないなぁ。

  • おふくろの味

これは何かの唄の一節にした方がいいかも。

  • あたし

唄はちょっと凝ってるんですが、オチがイマイチかなぁ。

  • 下戸

オチの「じゅーぶんじゃじゅーぶんじゃ」で
あと2つ3つぐらい欲しいかなー?

  • 遊園地

うーん…

  • 好物

なんで脂っこいモノがイヤな男が食パンの耳を油で揚げたヤツ好むねん。

  • 踏んだり蹴ったり

うわー「もぉぉぉーん」の言い方ムカつくわー

  • 歯医者の彼

なんかこれリアルにイヤだなぁ。

この辺も微妙だなぁ…

  • 例えば…

これも、いろんな所でよく聞くなぁ。
今更、嘉門さんが形にする意味はないと思う。

  • レモン50個分
  • 今何時?

この辺はちょっとひねってあるか。

  • オバチャン

なんで今更こんなネタを…

あれだけ推されてた「言うだけ番長」まさかの格下げ。
この唄はそんなに面白いとは思わないけど
一度一つの曲として成り立ってるモノを
こんな形にするのは良くないと思う。

  • さーて来週のアワビさんは?

「お前はまちがっとる!」にこのコーナーだけ収録されてないなー
と思ったらこんな所に。
これも爆裂でもっと面白いネタあったんですけどねぇ。
「コンビニの弁当」とか「時代劇に出てくる英語のセリフ」とか
その辺もひっくるめて、もっとたくさんネタ集めて
一個のクレジットにすべきだっと思います。

あと、これ「ユンピョウ」や「おじいちゃん」と違ってBGMがないんですが
ちゃんとサザエさんの次回予告風のBGMを流して欲しい。

  • 話の流れ

こういう「男と女の会話の擦れ違い」みたいなのもねぇ…
既にいろんな人がやっちゃってるんでねぇ…

  • 童謡替え唄メドレー

「ミレニアムの法則」のカップリング曲「唄のワンダーランド2000」にも
中途半端に新作の童謡替え唄入ってるんで、
それとくっつけて「童謡替え唄メドレー2」を
作ればいいのに、なんでこんな中途半端な事したんだろう?

  • 没・替え唄クラシックメドレー

シングル「替え唄クラシックメドレー」の没ネタが3曲入っていますが
採用されたネタと没ネタの明確な区別がわからない。


それどころか「ガボット」なんかは採用されたネタより
面白いと思うんですが。

14、なんとかしなきゃ

女性を一人称にした歌はあんまり好きではないんですが
この唄はまぁいい感じだと思います。


たぶん「これは何かの陰謀だ」や「オバサン1号」のような
中途半端な意図変更ではなく
初めからちゃんと「女性の気持ちを描いた唄にしよう」と思って
作ったからなんでしょうね。
途中で意図変更した唄って、たいてい駄作が多いです。
これは嘉門さんに限らずですけど。

15、のってこない男

「そじゃなくてー」のメロディラインが
完全に「えのきだけ」なんですが
アレンジまで「えのきだけ」を彷彿とするモノなってて
それがまたマッチしてるのが凄い。

16、オマケ

オープニングでしょーもないのがなくなったと思ったら
最後にこんなん付けて来ました。


「なんとかしなきゃ」がエンディングテーマで
「のってこない男」がオマケでいいと思うんですけど。


でも、「鼻から牛乳」はアコースティックギターの方がいい
っていう事は再確認できましたが。


(総評)
いろいろ批判もしましたが
全体的な出来は前の「かもたつ」とは比べ物にならない程の出来です。


個人的にはオープニングコントがなくなったのと
「唄のワンダーランド」が2つに減ったのは大きいと思います。
(それでもまだ多いですけど)


メインになる楽曲も面白いものも増えたのですが
「独身女性に向けて」のコンセプトを中途半端に残ってる
という点がちょっと気になりました。
(特に「これは何かの陰謀だ」)


「美学」とか「OTASUKE-MAN」とかがある時点で
もうコンセプトが崩れてるから
そこにこだわる必然性はないと思うんですけどね。


この「女心を描こう」という中途半端な状態が
この後「残念なお知らせ」というアルバムが出るまで続きます。