嘉門達夫「SINGLE BEST COLECTION +1 1997-2001」

嘉門達夫シングルベストコレクション+1 1997?2001

なんでこの時期にシングルコレクション？
と思ったらDAIPRO-Xに移籍して5周年だったんですね。
わかりにくっ！

レビューを書き始めたのが「お前はまちがっとる！」からなんで
それ以前のシングル曲もこの機会にレビューしたいと思います。

１、新・替え唄メドレー

ネタはまぁまぁ面白いのですが、いかんせん長い！
「ガッツだぜ！」「愛の言霊」「ララ・サンシャイン」「相談天国」なんかは
サビの部分を二度三度繰り返して、違うネタを歌うって手法
を取ってるんですが、ネタに自信がない時によくこういう事するんですよ。

でも、こういうやり方って却って逆効果だと思うんですよね。
ネタが弱いなら、むしろすぐ次のネタに行って
勢いで誤魔化した方がいいと思います。

実は嘉門さん本人に直接言った事があるんですが
嘉門さん曰く、プロデューサーの指示だそうです。
ここからなんですよね、僕がプロデューサーに疑惑を抱き始めたのは。

２、替え唄クラシックメドレー

嘉門さん曰く「俺はこう聴こえるんだから仕方ない」との事なのですが
どうも言葉の当てはめ方に無理がある。

それでこのCDのリリース直後にやったライブで
没ネタを歌ってたんですが、そっちの方が面白かったんですよね。
実際ウケてたし。

その時やってたネタがビゼーの「闘牛士」に乗せて
「♪新宿西口　新宿西口　新宿西口だー
反復横跳び　反復横跳び　反復横跳びだー」とか
バッハの「ガボット」に乗せて
「テレビのリモコンどこ行った？ビデオのリモコンどこ行った？
茶壷に負われてとっぴんしゃん」とか。
むしろ、この没ネタの方が「俺はこう聴こえるんだから仕方ない」
っていうコンセプトなんですよね。

それに比べると、CDに入ってるネタは
「元々曲がなくてもネタとして成立する文章を
無理矢理クラシックに当てはめてる」
というのが多い。

もしかして、これはプロデューサーが「闘牛士」や「ガボット」みたいなのを
「そんなお前の頭の中だけで思ってるモノが通じるか！」
みたいな事を言ったんじゃないか？ってついつい邪推してしまいます。
前回の事もありますし。
考えてみれば1曲目の「運命」のネタも
「♪山田さーん田中さーん」で充分なのに、その後に
「…の奥さん」みたいないらんフォロー入れちゃってるし。

でも、ライブで見てる限りお客さんは
ちゃんと嘉門さんのやってる事を理解して笑ってるんですよね。
プロデューサーだけが付いて行けてないだけなんじゃないの？
って思います。

３、誰がそこまでガンバレ！言うた

この唄、PVまで作られてエライ推されてた記憶があるんですが
この唄っていわゆる「アルバムの中にある盛り上げ役」ポジション
でしかないと思うんですけどね。
（「怒涛の達人」の「ワッチャー＆ひねりなさい」とか
「NIPPONの楽しみ」の「なんなんだブギ」の位置）

４、アニメ替え唄スーパーメドレー

ネタはそこそこですが、結構売れた記憶があります。
ディスク・ピア梅田店では売り上げベスト10に入った事もありますから。
この辺はアニソンが持ってるキャッチーさが大きいんでしょうね。

でも「サザエさん」「天才バカボン」「ゲゲゲの鬼太郎」という
超メジャーラインナップに並んで「ボルテスV」が入ってる事に違和感が。

５、ええ奴やんか

「誰がそこまで〜」とこの曲入れるんなら
「それはまるで」も入れて欲しかった。

６、ザッツ・替え唄メドレー

いやはや、これは申し訳ない。
実はこの曲に収録されてるネタの半分は僕の作品です。
つまり、この曲がイマイチなのは半分は僕の責任です。

ただ一つ言い訳をさせて貰うと、僕の中で「これはイケる！」と思ったのが
そのままの形で収録されてるのは「口唇」「Time gose by」「ひだまりの詩」ぐらいで
あとは「一応作ったけど、こりゃ没だな」って思ったのが入っちゃったり
自信作が没にされたり、採用になっても大事な部分がカットされたり
余計なモノを付け加えられたりで
僕自身も非常に悔しい思いをしてます。

僕の自信作だけをそのまま入れてくれたら
もっと完成度が上がったと思うんですよ。

７、ベスト・オブ・唄のワンダーランド

「SINGLE BEST COLECTION +1」の「+1」です。
最初「+1」っていうのを見た時、DAIPRO-X移籍後3年ほど推されていた
初期の名作「諸行無常」か、ライブの定番曲「Mr.説教MAN」かと思ったら
「唄のワンダーランド」かい。
なんか「刺身のツマ盛り合わせ」みたいで、全然購買意欲がそそられないんですけど。

一歩譲って「唄のワンダーランド」アリだったとしても
聴いてみるとDAIPRO-X以前の作品とか入ってたりするんですよ。
それって「SINGLE BEST COLECTION +1 1997-2001」の「1997-2001」の部分の趣旨に反してるし、
それに何より、DAIPRO-X以降あれだけ「唄のワンダーランド」を
乱造してて「やっぱり昔の方が面白かった」って
自ら言っちゃってる様なモンじゃないですか。

でも、まぁ「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる」っていうのは一理あって
結構DAIPRO-X移籍以降の作品でも良いのがあったりするんですよね。
一時推されてた「やりたい放題」
（「♪みかん農家の息子はみかん食べ放題〜」ってヤツ）とか
「お前はまちがっとる！」に収録されたいた「おばあちゃんの唄」とか
（「♪おばあちゃんは昔の事をよく覚える〜」って唄）
「ミレニアムの法則」のカップリングに入ってる「僕のおじいちゃん」
（「♪僕のおじいちゃんはどれくらい息を止められるかに挑戦していて〜」という唄）とか
「フルマラソン」（「♪フルマラソンで給水場を通るとき〜」という唄）とか
その辺入れたらよかったのに。

８、替え唄メドレー2001

気付いた人も居ると思いますが「替え唄メドレードラゴン」が飛ばされています。
でも、正直「ドラゴン」カットするなら「ザッツ」や「特選」も
カットするべきだと思うんですけどね。

恐らく「ザッツ」や「特選」が収録されたのは
途中にちょっとだけ収録されてる童謡の替え唄だと思うのですが
だったら「かもたつ」に収録されてる「童謡替え唄メドレー」に
その曲プラスして録り直して、それを「+1」として収録して欲しかった。

９、鼻から牛乳〜世紀末バージョン〜

結局「替え唄メドレー」と「鼻から牛乳」なってしまうんですかねぇ。
どっちもオリジナルからは格段に落ちてると思うんですが。

10、特選・替え唄メドレー〜DANCE MIX〜

この曲、実は当初「ダンスミュージック」のみで替え唄メドレーを
作ろうとしてたんですが、結局ネタが集らず
ここ近年の替え唄を作って、それをダンスミュージック風にアレンジするという
なんとも中途半端な事をしてしまったんですね。

しかも、比較的に有名な歌は前作の「替え唄メドレー2001」で
使い切ってしまった為に一部を除いて原曲の知名度が低め。
これも最初、浜崎あゆみの「SEASONS」やMISIAの「Everything」も
入る予定だったんですが、嘉門さんが「売れてる割には知名度が低い！」
ってめちゃめちゃ知名度高いがな！
いや、むしろ今回の作品に収録されてる曲で
この2曲よりもずっとマイナーな曲（河村隆一の「Ne」とか）
が収録されているんですけど。
なんか時々、あの人の判断基準がよくわからない時がある。

あと、もしこういうタイトル付けるなら
今までリリースした「替え唄メドレー」の中から
傑作ネタをチョイスして、総集編みたいなのを作って
それをダンスミュージックにアレンジしたら
「特選替え唄メドレー〜DANCE MIX〜」のタイトルの意味も
出て来ると思うんですけどね。

11、CM替え唄メドレー

このアルバムと同時発売のシングル曲。
やはり馴染みの曲で作ると面白いですね。

CMソングをまずイントロとして自分で口ずさんでから
ネタに入るやり方は賛否両論ありましたが
僕はいい方法だと思います。

むしろこれを聞いて「替え唄メドレー２」の「北海盆唄」や
「帰って来た替え唄メドレー４」の「阿波踊り」の
イントロ部分もまず嘉門さんが歌ってから
ネタに入ればよかったのにって思いましたからね。

12、ミレニアムの法則

この曲が最後なのはちょっと面白いと思いました。

総評

結局「替え唄メドレー」のアルバムみたいになっちゃってますけど
この時期って「替え唄メドレー」不作の時期で
むしろこういう事をしてしまったのは
昔嘉門さんを聞いてた人に「嘉門達夫も落ちたな」
って思わせる事になりかねないんで
もっとシングルでもオリジナルで面白いの
「ソリャニャーゼ・セニョリータ」とか「それはまるで」とか
「これは何かの陰謀だスペシャル」とか
（アルバムのに加えて一部ネタがパワーアップしてる）
そういうのを中心に収録した方が良かったんじゃないかな？って思います。
（替え唄は「新」「アニメ」「2001」「CM」の４つだけでいいと思う。）

もっと言うならDAIPRO-X移籍以降に出来た嘉門さんの名作って
「諸行無常」「Mr説教MAN」「今日のブルース」「不幸な女」「残尿感」
「ビデオを返しに行かなくては」「巣立ちの言葉」「俺だけかぁー」
「童謡替え唄メドレー」「理想のタイプ」などなど、アルバム曲に多いんで
シングルコレクションではなく、ベストアルバムを出して欲しかったです。