絶対キレイになってやる!/嘉門達夫

絶対キレイになってやる!

絶対キレイになってやる!

久々に嘉門さんのCDレビューを。
タイトルを見る限り「女性の気持ちを描く」というのを
テーマにしたコンセプトアルバムのようですが、はてさて…

1、一人暮らしの女

まずはこのテーマを象徴する演歌ショートソング。
男に逃げられた女の気持ちを見事に表現しており
短いながらも完成度は高いです。
のっけから期待させる出来です。

2、CHA!CHAU!CHAU!

過去作である「まちがってますよ!」を
伝承曲に乗せて歌う別バージョン。
個人的にはこっちの方が
「歌」として消化してるので好きです。


2曲目にしてテーマとは関係ない歌ですが
まぁ「リゾート計画」における
「コミュニケーション」の位置づけだと考えると納得出来ますが
ただ、同時発売でシングルカットするのはどうかと。


テーマに沿った曲でシングルカットするような曲がないんなら
この曲をアルバムとは別に出して
アルバムはそういう「シングルカットできるような代表曲」
が出来るまで発売は延期するべきしょう。

3、ジョーク・ゾーン1

・せーので切ろ
まぁ、いつもの「会話」なのですが
ちゃんとアルバムコンセプトに沿っており
なおかつBGMやSEに凝っていて
内容はオーソドックスながらも
ちゃんと聴ける出来になっています。
いつもこれぐらい凝ってくれたらなぁ…。


・卒業式
こういうのは普段なら没になるような内容なのになぁ…、
アルバムコンセプトとも無関係だし。
あと、せっかくBGMとか凝っていたのに
最後にいつものギター音オチで冷めます。


・席替え
悪くないんですが、これもコンセプトと無関係。
次のアルバムまで回すべきだったと思います。


・ケータイが切れたので
「自転車」の焼き直し。
「自転車」って結構あちあちこちでやってるネタなんでねぇ。
これがまだオリジナルが無名なら焼き直しの意味もあるんですが…。


・九九
面白いんですが、こういう「男の気持ち」を示した歌は
アルバムコンセプトを考えて
真っ先に没にするべきだと思います。


・チケット
かろうじてコンセプトには合ってるかな?
でも、このトラックのオチに使うには弱すぎる。


結局このトラック「せーので切ろ」だけで
良かったのではないかと思いました。

4、THE ENKA替え唄メドレー

こういうコンセプトアルバムに「替え唄メドレー」を入れる事
入れなければならない状況がちょっと問題だと思うのですが。
これも「CHAU!CHAU!CHAU!」と両メイン曲でシングルカット
されているのですが、アルバムとは別に出すべきだったんでしょうね。


あと「演歌」をテーマにする事への不安か
タイトルをローマ字にしたり、「CHAU!CHAU!CHAU!」と
カップリングにしたり(しかも、この曲が2曲目)
そういう意味での「迷い」が見られるのですが
このテーマだったら、タイトルをシンプルに
「演歌替え唄メドレー」にして、ジャケットも演歌のCD風
8cmCDで出して町のCDショップの演歌コーナーにおいてもらうなどの
「元歌を知ってる高年齢層」へのアピールを
した方が良かったんじゃないかと思います。

5、なで肩

最初「なで肩」や「顔デカ」で嘉門さんの自虐ソングかと思ったのですが
三番目で「アニメ声」という嘉門さんとはかけ離れたネタで
(しかも、無理矢理アニメ声作っててちょっと聞き苦しい)
どうせなら全部「嘉門さんの自虐ネタ」にすれば成立したと思うのですが
(「几帳面」とか「鍋奉行」とか嘉門さんに当てはまる項目もちょいちょい出ますし)
あと「オチが無くて悪かったな」は最後にオチとして持って来るべき。


それにしても、ここまで「コンセプトに関係ある歌」が
ショートソング以外に出てこないというのはどういうこっちゃ!?

6、ジョーク・ゾーン2

・一人暮らしの女2
パート1同様非常に完成度の高いショート演歌なのですが
こういう風に他とまとめて入れちゃうっていうのはなぁ…。
この「一人暮らしの女」シリーズは
アルバムの柱としてちゃんと1曲ずつクレジットするべきです。


・動物クイズ大会
凄い昭和のネタだなぁ…。
わざわざ、コンセプト無視してまで入れるべきでは無かったような…。


・バス
面白いけど、パっと聴いた感じ運転手と客の区別が付きにくい
運転手と客をステレオで上下(かみしも)に分けて収録すべきだったのでは?


・クイズ浮気ショック
コンセプトに沿っててまずまずの出来。
(ちょっとそのまますぎるような気がしますが)
このトラックは「一人暮らしの女」とこれだけで良かったかなぁ。


・別れ話
う〜ん…狙ってて凄い外してる感じが。
なんかやろうとしてる事はわからんでもないんですが。


・バナナボート
「バナナボート」というモノが聴いてる人に
どれだけ共感を与えてるかでしょうね。
何人の人がピンと来てるのか。


・天才
この頃よくこういう中学生みたいな下ネタが
どさくさにまぎれて収録されてるんですよw
まぁ、今だったら真っ先に没扱いでしょうけどね。

7、ちょっと待ってよ

やっとコンセプトに沿った曲が。
ただ、これマジメな歌なんですよね。
こういうのって、コンセプトに沿った面白い歌が
5曲ぐらいあって、その中にぽんとあれば成立するんですけどね。

8、絶対キレイになってやる!

タイトルチューン曲。
なんですが「歌」じゃなくて
BGMに乗せて「男女の会話」を聞かせるというのがコンセプト。
なんか、ここまで凄い消化不良というか
こっちは「コンセプトに沿った」「面白い」「歌」
聴きたいんですけどねぇ。


あと、嘉門さんの「関東弁」って凄い違和感が。
男のツッコミなら関西弁じゃいいじゃん。

9、ジョーク・ゾーン3

・影薄い隊
いかにも「嘉門さんらしい」ネタのトラック。
まぁ、今回のコンセプトを考えると要らないかな?


・付加価値語講座
これ凄いよく出来てるんだけどなぁ。
このアルバムじゃなくて、他のアルバムに
これを一つのトラックとして入れたら
凄い良いと思うんですけどねぇ。


・おもわくちがい
これも「九九」同様、「男の気持ち」を歌った歌だから
今回のアルバムには収録すべきじゃないんですよね。
ちなみに、この曲はシングル曲「夢・ドリーム」の
カップリングにもっと完成度を上げたバージョンが入っています。


ガーデニング
アルバムコンセプトを考えると残すとしたらこれかなぁ。
まぁ、ベタっちゃあベタなんですが。


あとBGMは流しっぱなしじゃなくて
ブチ切れる所はBGM止めた方演出効果としては
良かったんじゃないでしょうか?

10、少年のような心

最初「少年のような心を持った男性が好き」という女性を
皮肉った作品なのかな?と思ったら
段々「若者批判」みたいな内容になってるが
なんだかなぁ…って思います。
たぶん作ってるウチにアルバムコンセプトを
忘れちゃったんでしょうねぇ。


それにしても、最後の項目に行くまでの溜めが長いなぁ(苦笑)。

11、ジョーク・ゾーン4

・一人暮らしの女3
感想としては「2」の時と全く同じです。


・バッカ
このテーマは「アニバーサリー女」で完成してると思うんですけどねぇ。


・ライブ
こういう屁理屈をいうネタはあんまり好きじゃないなぁ。


・口にするとウレシイ
いや、なんか言いたい事はわかるんですけどねぇ…。
「ナリキン投稿天国」で「強そうな単語」として消化してましたが、
未だにちゃんと形に整頓出来てないんですよね。


・そんな時言ってよね
こういう男の立場に立って女性にツッコミを入れるネタは
「図星でしょ☆」に入ってるなら解るんですが
このアルバムにはちょっと違うかなぁ。


・ケータイかえ!
タイトルでオチ言うてもうてるやん!
せめて「遠山の金さん」とか「時代劇」とか
そういうタイトルにすればいいのに。


あと嘉門さんって、関西弁の「○○かい!」というツッコミを
文体で書くとき「○○かえ!」って書くんですけど
あれは「かい!」と書いて「い」と「え」の中間を
発音するのが正しいというか解りやすいと思うんですけどね。
「ケータイかえ!」だと「ケータイ買え!」だと
いう風に取られてしまう可能性もありますし。


・みなまで言うな!
なんかコンセプトを形にしきれていない感じが。
もうちょっと寝かせた方が良かった気がします。

12、キャー!ステキ

個人的には今回のアルバムで一番好きな歌。
というか、やっとアルバムタイトルを聴いて
それから連想できる「コンセプトに沿ったコミックソング」が
12曲目にようやく聴けた気がします。


ただ、最後無理矢理政治ネタに持っていったのが残念。
あそこは新しい彼に(名前は小泉君じゃなくて)
また「ポテトチップス開けて」に戻って
それからフェイドアウトさせて
「この女結局、どの男にも同じ事させてるやん」
って思わせる終わり方をして欲しかった。

13、おるおるおる

悪くない、アルバムコンセプトには沿ってるし
あっても邪魔じゃない、あって良い感じの歌なんですが
「おるおるおる あるあるある するする」っていう投げやりなサビの部分はどうなんだろ?
それが「嘉門達夫」という歌手の大元のコンセプトで
そこから細分化していくのが、嘉門さんの役割だと思うのですが。

14、ジョーク・ゾーン5

・意味不明
この時期ってこういう「形にしようとしてしきれなかった」ネタを
ドサクサにまぎれて収録しちゃってるパターンが多いんですよ。
タイトルも「いいタイトルが思いつかなかったんだろうなっていうのが
感じ取れますし。


・ストレス
この曲もアルバムコンセプトと関係ないネタかな?
と思ったら最後、無理矢理そっちに持って行きましたねw
だったら最初から「女性が感じる些細なストレス」を
テーマに作るべきだったのでは?


・コンビニ弁当
こういうネタは嘉門さんがネタとしてやるより
マンガ向きですね。


・発表
こういう「いかにも嘉門さんの一人上手」みたいなのは
聴いててツライなぁ。


・それは出来ねー
この中で残すとしたらこれかなぁ。
アルバムコンセプトを考えると。


でも、これも「ケータイかえ!」同様
タイトルでオチ言っちゃってるんでねぇ(苦笑)。
「三十路女の嘆き」とかそういうタイトルに
出来なかったんでしょうか?
「それは出来ねー」とは言わせませんよw


・クリスマス
一応アルバムコンセプトには沿ってるものの
わざわざネタにするような事でもないなぁ。

15、元気をくれる言葉たち

「ポジティブなマーフィーの法則」といった感じでしょうか?
でも、こういう説教臭い事を嘉門さんに言われたくないなぁ。

16、一人暮らしの女4

「2」と「3」を「ジョークゾーン」にまとめておいて
「4」だけ独立トラックにしたら
急に「1」から「4」に飛んでしまって
何事か!?と思うじゃないですが。


こういうのって嘉門さんも、そしてプロデューサーの
新田氏もなんとも思わないんでしょうかねぇ?

総評

一応「女性の気持ちを代弁する」というアルバムコンセプトでしたが
それに該当するトラックはあまりなく
その中でも従来のような「笑い」をモチーフにしたのは
「一人暮らしの女1〜4」と「キャー!ステキ」ぐらいで
これはちょっとコンセプトアルバムとしてはしんどいなぁと。


ネタが揃わないウチに見切り発車をしてしまったのか
それとも、ちゃんとアルバム1枚分ぐらいのネタは用意してたのに
新田氏の入れ知恵でこうなってしまったのかは解りませんが
出来れば「女性には共感を、男性には発見を
そして両方共に笑いを提供できるアルバム」
にして欲しかったです。



CHAU!CHAU!CHAU!/THE ENKA替え唄メドレー
CHAU!CHAU!CHAU!/THE ENKA替え唄メドレー
夢・ドリーム
夢・ドリーム