M-1グランプリ2009

番組の感想の前に、今回地上派で初めて敗者復活を放送すると聞いて
前半はネットで観戦。そして中継が切り替わって地上波の放送を見てたんですが
完全に後半ダイジェストで、もう「ふざけるなぁ!(by夜神月)」
って感じでした。
いや、だったらせめてネットで最後までやれと。
というわけで敗者復活のレビューは完全版が放送されてからにします。


さて、決勝のレビューですが、各芸人のレビューの最後に
全くの独断と偏見で100点満点で採点しています。

ナイツ「自己紹介」(634点/第4位)

自分たちの芸風をテンポ良くして、M-1用に対策した感じですが
ネタのテーマが自己紹介という名目の元に、
ネタをいろんなヤツをごちゃまぜにした感じで、終わってみたら
「で、結局何が言いたかったの?」って感想でした。

審査員の点数が意外と高くて驚き。
トップバッターの役割をちゃんと果たした事への評価でしょうか?
今までトップバッターが不発だったり、トップ向きの芸風じゃない
芸人さんがトップとっちゃったりしてましたからね。83点

南海キャンディーズ「ストーカー」(607点/第8位)

楽しいし、面白かったんですが、なんか5年前で時間が止まってる感じがしました。
それもそのハズで、このネタ自体が5年前に作ったネタでその時と
ほぼセリフ回しとか全く同じでしたからね。

せっかくの5年ぶりの返り咲きなんだから
「新生南海キャンディーズ」が見たかったというか
山ちゃんはタレントして、しずちゃんは女優として
各々活動してたんだから、それぞれの活動を上手く漫才に活かして欲しかった。

と、思うと同時に「5年前にやれよ」とも思いましたね。
このネタが完成していた2005年は別のネタやって最下位になってしまった年なんですが
僕は準決勝見てなかったんで、ずっと、この「ストーカー」を
やるもんだと思ってて、凄い楽しみにしてたのにがっかりした記憶があるんですよね。
(予断ですが去年、笑い飯がやった「闘牛士」も2004年に既にあったネタで
今回の南キャンと同じ気持ちになった記憶がw)

むしろ、その時にやった「調教師」の方が今のしずちゃんの演技力が活かせると思うんですよ。86点

東京ダイナマイト「インタビュー」(614点/第6位)

最初に言っちゃうと、サンドウィッチマンが優勝した後で
ここが出てくるというのは非常にみっともない事なんですよ。
弟子が優勝した大会に師匠がのこのこ出てきちゃうんだから。

それでも、わざわざ出てくるというのは
「優勝なんかどうでもいい。俺らがM-1をめちゃめちゃにしてやる!」
ぐらいの意気込みで、この大会を引っ掻き回す為に出てきたという風に捕らえますよね。

でも、実際蓋を開けてみればそんな面影もなく、地味に狙いに来てしまったと。
この辺が吉本に入ってしまった所以なのかな?と。

ただ、正直ここ普通の漫才しちゃうとつまんないですね。
松田のキャラも「ハッタリかます用」のキャラですしね。50点

ハリセンボン「おすそわけ」(595点/第9位)

いやぁ、面白かったw なんか、はるかが出してくる突拍子もない設定
(実は漫才では比較的ベタな展開なんですが)がキャラにマッチしてるのと
それに対しての春香のツッコミも良かった。
この二人って「ちゃんと自分の持ってるキャラクターを活かせるネタ」
をちゃんと作ってて、僕は「これこそ芸人のやるネタの理想系」と思って
高く評価してたんですが、周りの反応や審査員の点数が今ひとつで
「あれ?」って感じでした。ネタがM-1の空気に合わなかったのかな?90点

笑い飯鳥人」(668点/第1位)

正直、去年昔のネタを下ろした事もあって、そんなに期待はしてなかったんですけど
最後の年(実は来年も出場資格あるんですがそれはおいといて)に大爆発しましたね。
それにしてもようこんな発想出てくるなぁ。
「頭が鳥、体が人間」という設定を生かしたネタを出し尽くしたかと思ったら
鳥進一まで飛ぶしw
なんか、笑い飯の「バカバカしい部分」と「理屈っぽい部分」
上手く融合したネタだったと思います。

僕は正直、笑い飯のネタって面白いと思った事が少ないんですが
今回のは本当に笑いました。

でも、紳助100点はないわw
困るのはアンタじゃなくて、笑い飯やろと。 98点

ハライチ「飼いたいペットの条件」(628点/第5位)

笑い飯のあと、どうすんねやろ?って思ったけど
今の若い子度胸据わってるわーw

もちろん、ネタやキャラも素晴らしいんだけど
前の空気もろともせずに飄々とやってのける感じが(緊張はしてましたけどね)
新世代って感じがして、M-1出場芸人もそろそろ一周する中
非常に頼もしい存在でもありますね。

まぁ、最初の犬の話も「若さゆえの過ち」として解釈出来ますしね。95点

モンスターエンジン「夫婦生活」(610点/第7位)

これ、先日のABC新人グランプリ予選の記事にも書きましたが
やおい」なんですよね。
「西森があくまで西森のままで、大林と二人夫婦生活送る」って
コミックシティ行ったら、まさにそんな同人誌売ってますからねw
西森がちょいちょい「女心」を自分目線で語るのもまさにそれですね。


そりゃね、お客さんも審査員もぽかーんってなりますよね。
だって普通の人は「やおい」がわかんないから
目の前で行われてる居るものが何なのか?
面白いのかつまんないのか?っていう判断すらついてないと思います。
そら、中田カウスもとんちんかんなコメントするわとw
(でも「お客さんが引いて行ってる」とか「女やから艶っぽくして欲しい」とか
のコメントは実は上記の事を考えると的確だったりするんですけどね)


しかも、これ本人らが「わざとやってる」なら救いがあるし
もうちょっと、普通の人が見てわかりやすい事(抱き合ったりキスしたり)
って事すると思うんですけど、自覚がないから、ごく自然にやっちゃってるんですよね。
だから、baseの若い女性客に知らず知らずのウチに洗脳されちゃってるんですよ。
baseのお客恐るべし。


それよりも、問題はこれを通した準決勝の審査員ですよね。
審査員の中に腐男子がおるぞとw
しかも、準決勝の審査って毎回、侃々諤々で
「俺はコイツを決勝にあげたい!」って
審査員による芸人の大プレセン大会になるらしいんですよ。
という事はこのやおい漫才を強く勧める審査員が居たという事ですよね?
そんだけ腐ってるオッサンが居るっていうのがちょっと問題だと思うw 48点

パンクブーブー「口うるさい隣人」(651点/第2位)

あーこれは困ったなぁ。
いや、実力はお墨付きなのはわかるし、高く評価される事もわかるんですよ。
ただ、僕がオンバトやレッカペで見て来たいつものパンクブーブー
しかも、いつもどおりである事にあまり感動がないんですよね。


いや、それこそ今までライセンスやダイアンやナイツが
「いつもと同じ事をしてはいけない、M-1用の対策をしてこなくちゃ」
という批判みたいな事をされてたわけじゃないですか。
僕はこれもそのパターンなんじゃないの?って思ってしますんですよね。
まぁ、いろいろ濃いのを見せられて、シンプルなのが欲しくなったのかな?


いや、これで評価するなら、もっと早く決勝にあげて欲しかったなという気がします。85点

NON STYLE「ヤンキーの決闘」(641点/第3位)

この番組の前にやってた「敗者復活」の模様を見てると
実はこのネタそこまでじゃなかったんですよ。
(正直同じブロックのU字工事の方が面白かった)
でも、本番で見ると違うというか、迫力ありますよね。
大舞台で映えるタイプの芸人ですね。


ネタの方は実は結構「大阪の若手がよくやるくだり」っていうのが多いんですけど
(敗者復活でイマイチに見えたのもそれが原因)
それをテンポやタイミングで面白く見せてるっていうのが彼らの腕前を表しています。


大阪の芸人がよくやるボケって、自分らのお客さんだけに向けてやってる事がほとんどなんですけど
このコンビはそれをテレビの前の人が見たって面白く感じるようにもって行ってるっていうのが凄い。95点

  • 最終決戦

NON STYLE、パンクブーブー笑い飯の3組による最終決戦となりました。

NON STYLE「峰討ち」

畳み掛けるような展開、ボケ一個一個の精度はさっきのより上なんですが
オチが決まらなかった。というか前のネタのそこまで大きくないくだりを
天丼でオチにしてしまったのはいただけない。


何より「さっき見たのと同じような事をやってる」と思わせてしまったのがツライ。
ノンスタが今回初登場なら良いのですが一回チャンピオンになってますからね。
しかもほぼ同じパターンで。ここは今田耕治のいじりもあったし
イキリネタやっても良かったんじゃないかな? 90点

パンクブーブー「陶芸家に弟子入り」

これはさっきのノンスタと逆で、一個一個のボケの精度はそんなに高くないけど
オチ前の「手を突いて謝れ」のくだりがガチっと決まったのが大きいですね。
ヒット数はノンスタの方が多いけど、パンクブーブーは最後でホームラン打ったって感じ。
これはどっちをどう評価するかって所ですね。僕はノンスタの方が上かな? 87点

笑い飯「野球のキャッチャーと審判/ラグビーゴールキック

あちゃーやっちゃったが第一声。
松本と紳助がハードルを下げるために言った「もうネタがない」が
現実になってしまいましたね。


たぶん、これ両方とも60点ぐらいのネタなんですよ。
60点+60点=120点にしようとしたんでしょうけど、どっちも半分に切ったので
どっちみち60点だったって感じですね。
実際、最初の野球のくだりはそれなりに期待出来る感じでしたし
そのまま野球のネタで行けば良かったのにとも思うし
例の「チンポジ」も本当は「お互いにチンポジを気にしまくる」という所が面白いのに
結局、「西田だけ気にしまくる」っていう流れになってしまいましたし。
どっちか一本に絞ってればまだ…って感じがしました。 60点


そして、優勝はパンクブーブーでした。
やっぱり、大きな当たりを一本あそこで出せたのは大きかったですね。
一緒に見てたウチの母親も「パンクブーブー一番面白かった」って言ってましたし。


ノンスタと笑い飯は単純に「期待値が高すぎた」というのがあったと思います。
ノンスタはその期待値を越えられず、笑い飯は自爆した感じ。
(まぁ、ノンスタはチャンピオンなので仕方ないように思えますが)


僕はこの期待値を越えるには、ノンスタは「運命の出会い」(2007年準決勝、敗者復活のネタ)
笑い飯は「宇宙戦争」(2007年決勝でやった「ロボット」と共にいろんな番組でやってた当時の推しネタ)
をやれば良かったかな?と思います。


ノンスタは「イキリ漫才をやるべきだった」という話がお笑いファンの間でよく出るんですが
僕は「運命の出会い」は石田が今の石田のキャラに一番近いので
M-1からノンスタを知ってる人には「イキリ漫才入門用」になるのではないか?と分析。
笑い飯の「宇宙戦争」は2005年の「お誕生日会」2007年の「ロボット」のような
二人でボケ続ける漫才で、優勝に一番近かった2005年の事を考えると
笑い飯は一回目と二回目は違うパターンで攻めた方がいい」と思うので
そのパターンの中でも、二人がケンカする下りがあって、
いわゆる今までの漫才の空気を踏まえてる部分があるので
このパターンのネタの中では一番とっつきやすいネタなのではないか?
というのと、あと「鳥人」という奇怪な生き物を越えるには宇宙に行くしかない!とw


ちょっとノンスタと笑い飯の話ばかりになってしまいましたので
最後にパンクブーブーの話を。
パンクブーブーって元々な破天荒なコントや漫才を
やってたコンビだったんですよね(「彼女神拳」とかw)。
それが今では比較的オーソドックスな芸風に切り替えた訳ですが
多くの芸人が、こういう事(オーソドックスな芸風に切り替えようとした時)に
あまりにも「オーソドックスな漫才」を意識しすぎて
本来の破天荒な芸風が死んでしまう事がよくあるんですよ。
それが、このコンビはちゃんと、前やってた時の「良い部分」を残しつつ
ちゃんと、わかりやすい漫才にしてるっていうのは、彼らの凄い所なんですよね。
そういう部分が今回の優勝に結びついたんだと思います。
おめでとう!パンクブーブー!!