エンタの神様「7年間ありがとう!大爆笑の傑作名作ネタすべて見せますSP」

お笑いファンから賛否両論、といか「否」の声しか聞かなかったこの番組ですが
「テレビのお笑いファン」だった僕は結構早い段階で、
この番組のやり方には納得していたというか、素直に楽しんでました。


僕はライブにほとんど行かない人間なので、
いわゆる「人」に対しての思い入れがそこまでないというか、
僕の中ではテレビ>芸人という構図が成り立っていたので
「テレビに出たかったら、テレビに合わせるのが筋だろう」
という考えがあったんですね。
「視聴率第一主義」に関しても、まぁ確かに
「視聴率」という数字がどれほど正確なのか?という疑問もあるのですが
「じゃあ、他にテレビ番組がどれだけ見られてるか?」
っていうのを計測出来るものがないですから、
そりゃスタッフは「視聴率」を頼りにするしか無い訳ですしね。
それによって、出演者を時に無常にも切っちゃったり、
普段やらないようなネタをスタッフがやらせたりするのも、
それは止むを得ない事だと思います。
(でも、流石にカンニングは最初ドン引きした記憶がありますがw)
ネタ番組になって初期の頃「漫才」をほとんど流さなかったのも、
この前の紳助の番組見てたら、納得出来ますし。
漫才をやったコンビも居てましたけど
フットボールアワーおぎやはぎ南海キャンディーズのような
「個性の強い人」が多かったですからね。


それにこの番組だけが目の敵にされてましたけど
テレビ番組ってみんなそういう所ありますよ。
他の番組はスタッフの手が全く入ってない、例えばレッドカーペットなんかも
「ネタは全部芸人が考えてる」と思ってる人居ますけど、そんな訳は無くて
例えば天津の各々のピンネタなんて、普段の漫才のネタの傾向を考えたら
「スタッフが考えてる」という考えに至ってもおかしくないでしょう。
(本当に芸人のネタをそのままやらせてるのは
全国区ではオンバトM-1、R-1、KOCぐらい)


僕は「プロの芸人なら、スタッフが書いた台本であっても
ちゃんと自分のものにして、笑いを取る事が出来て当然だ」
と思ってるので、それに不満を述べる芸人は元より、
その芸人の言い分を聞いてしまうお笑いファンにも
正直「キミらは甘い!」と思ってました。
特に大阪の若手芸人は上に書いた傾向が色濃くあって
それゆえに「不器用で閉鎖的(つまりアウェーに弱い)
そのクセプライドが高い」という共通の欠点があったのですが
エンタのスタッフが上手く導いてくれた部分はあります。
例を挙げると天津の「モテない詩吟」で向の演技力を引き出してくれたり
ジャリズムの「日本オモロー党」では
「ナベアツのネタは『3の倍数と3の付く数字でアホになる』以外
山下のツッコミが必要だと言う事、
プラン9の5人漫才「坊さんが屁をこいた」は全国区用に
「だるまさんが転んだ」に変えて
兼ねてから言われてる「オチの弱さ」も改善されてましたし、
だから、大阪の芸人には客観的に見て
その芸人のこだわりやポリシーはさておき
「お前はテレビで見たらこういう風に映るんだからこうするべき」
とちょっと強引にでも指示するような人が必要なんだと思います。


ただ、時折見せる「この番組スタッフのセンスの無さ」
っていうのが確かにあって、指摘するとしたら、そこなんですよね。
正直「芸人のキャッチコピー」も
ボキャブラとかレッカペに比べたら、だいぶセンス無かったですし。


よくこの番組で話題に上がる「ますだおかだに、漫才をさせないで
スタッフの用意した『変な不動産の広告を紹介する』というコーナーをさせて
しかも間にアドリブで喋って笑いを取った部分も全部カットした」
というエピソードがあるんですが
漫才をやらさなかったのは上記の通りで
間のアドリブを切ったのは五味一男という人は
マジカル頭脳パワー」の時に、「所ジョージが間にアドリブで笑いを
取った所を『そこで数字が落ちてる』という理由でカットして
所ジョージと揉めた。」という話があったぐらいで
要するにそこは「テレビマンとしてのポリシー」だと思うんですよ。
あの頃の所ジョージって、もう結構な大御所ですし
そんな人に対しても、そんな事言ってた訳ですから。
いくら会場で笑いを取っても、それが画面を見てる人が
「面白い」と感じるかどうかはまた別の話だと思いますし。


じゃあ、なんでますおかを使ったのか?
後にますおかが「その事があってから
エンタの仕事を断った後スピードワゴンが似たようなコーナーやってて
『誰でも良かったんじゃないか』と思った」という話なんですけど
僕は「誰でもいいポジション」に真っ先に名前を出されるというのは
それはそれで光栄な事なのではないか?とも思うんですよね。
恐らく、僕はますだおかだの持ってる「華」の部分を
エンタのスタッフは見出してたのではないか?とも思いますし。
むしろ、後釜に入ったスピードワゴンの方が気の毒なのではないか?と。
この後、スピードワゴンは持ちネタの「甘い言葉」を番組で
出来るようになるんですが
ただそれって考えようによっては
「自分らをネタでアピールしないといけないポジションに下げられた」
とも考えられるんですよね。


まぁ、このますおかとスタッフの揉め事は
ますおかがまだ若かったというのもありますし
エンタの神様自体が始まったばっかりで、方向性を模索してる
(オープニングでMr.マリックが松尾幻燈斎の名前でマジックとかしてる)
時でしたしね。
ただ、いくら模索してる時とは言え「そんな雑誌の読者コーナー」みたいな事
テレビでするかー?っていう、僕はそっちの問題だと思うんですよね。
だから、ますおかも間でアドリブを入れて笑い取ろうとしたんだろう思いますし。
その辺が限界だったから番組後期は、芸人のそのままネタさせたんでしょうね。
はんにゃのやってた時代劇ネタも、元々持ちネタだったみたいですし。


いろいろ語って来ましたが、なにわともあれプライムタイムに
これだけ長い間やってたネタ番組って非常に貴重でしょうし
テレビお笑い史に残る番組だと思います。

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