M-1グランプリ2007レビュー

今年もこの季節がやって来ました!
以下、一回戦8組、最終決戦3組をざっとレビューして行きましょう。

笑い飯「お呼びでしょうか?ご主人様」(604点・第5位)

一発目にこれはキツイなーw
審査員が明らかに困ってましたからね。
なんか「新しい事をしようとして迷走してる」
って感じが丸出しでした。


やっぱり同じ動きの繰り返しだけではキツイですよ。
見ててしんどかったもんw
もっといろいろ変形合体しまくるんかと思ったのに。
なんでも、このネタ10分あるらしくて
もしかしたら、その中でももっといろいろ変形しまくるんかも
知れませんけど、だとしたら編集が下手くそすぎ。


でも、よくお笑いファンが「笑い飯が優勝する為には
新しい方法を生み出さないといけない」と言うんですけど
僕は本当にそうなのかな?って思うんですけどね。
一部のお笑いマニア以外は
「新しい笑い飯」よりも、むしろ
「『奈良県民族博物館』の感動をもう一度」と
思ってるんじゃないか?と。
だから、優勝する為には「哲夫VS西田」の熱の篭ったネタを
2つ用意する事だと思います。


なんか、大阪のお笑いファンや作家の間で
「新ネタ信仰」みたいなのがあって
それが芸人を追い詰めたり
そうじゃないお客さんが付いて行けなくなってる
状況を作っちゃってるんじゃないか?
って思うんですよね。


例え古いネタでも、よく出来た面白いのなら
M-1でやってなかったら、ぶつけてもいいと思うんですよ。


僕はちょっと昔のネタですが
「パトカー」のネタは、僕が見た中で一番
「哲夫VS西田」が一番強く出てるネタなんで
一戦目ぐらいならベスト3入りは出来ると思うんですけどね。70点

POISON GIRK BAND「鳥取島根」(577点、第9位)

あー、完全に舞台に飲まれてましたね。
去年と全く同じ状況w


いかに自分らの世界観を表現するのがウリなのに
こんなに飲まれたらあきませんわ。
ネタそのものはそのものは
そんなに悪くないとは思うんですけどね。


もうちょっと心臓が強くならないと
今後例え決勝に行っても、
ずっと最下位が続きそうです。
たぶん、来年はどんなにウケても
準決勝で落とされると思いますが。75点

ザブングル「スーパーのオバサン」(597点、第6位)

とても決勝に行くべきレベルじゃない人を
決勝に上げてしまいましたね。


これは、ザブングルが決勝に上がったお陰で
ウケてたのに、上がれなかった芸人さんや
このレベルで決勝に上げられた
ザブングル自身も可哀想です。
ひょっとしてワタナベになんぼか包まれたか?w65点

千鳥「象と飼育員」(580点/8位)

導入部の「象の密漁を止める」っていう下りは
意味の無いスケールの大きさで
結構期待してたんですけどねぇ。
そのスケールの大きさで最後まで突っ切って欲しかった。


その後「和民のCM」がねぇ…
そんなん頑張って売れたら
CMの話来る範疇じゃないですか。
せっかく漫才なんだから
もっと「どんなに頑張っても千鳥には来ないであろうCM」
をチョイスするぐらいの思い切りが欲しかったなぁ。


で、賛否両論のあるオチですけど
広げた風呂敷をあえて畳まないのなら
いっそ、広げるだけ広げ倒して
「こんなん畳まれへんで」と思わせるぐらい
やってくれたらいいと思うんですが
どうも広げ方が中途半端と言うか
ひょっとしたら畳めるかも?と思わせてしまった所が
今回の敗因じゃないかと。


「畳まないのが千鳥流」という意見もありますけど
世間にはそこまで千鳥の知名度ってないと思うんですよね。
だから「畳まなくても(畳めなくても)いい」
と思わせるようなネタ運びをする必要があったと思います。


で、この番組の前に、事前番組みたいなのをやってたんですが
そこで千鳥がインタビューに答えてたんですが
やれ「M-1の決勝に残らないと営業の仕事が減る」とか
M-1に残るためにロケの仕事を入れた」とか
M-1に向けて全国ツアーとかやったトータルに比べると
なんか言うてる事が小さいんですよ。


この辺の彼らの保守的な部分が
前衛的な事をやってるのに
上手くハマらない原因じゃないんでしょうかねぇ。70点

トータルテンボス「ホテルマン」(646点/3位)

ようやく番組(というか審査員)が求める漫才が来たと言うか
なんか会場全体に安堵感に包まれたような気がします。


ただ、去年のチュートリアルのような爆発ではなく
「ようやくマトモな漫才が見れる」みたいな感じに
なっちゃってるのが、残念な部分なんですが。


ただ、M-1でこういうオーソドックスな漫才が強いのは
「順番に左右されにくい」というのが大きいんでしょうね。
たぶん、このネタって順番が1番でも10番でも
そんなに評価が変わらないと思うんですよ。


そういえば最後の天丼部分で松本が冷めてる部分が
テレビで抜かれてましたがw
僕はこういう天丼の使い方は好きです。
松本、ホンマに天丼嫌いやねんなーw90点

キングコング「ショップ店員」(650点/2位)

なんか「あーキングコングの漫才ってこんなんやったなー」
っていう懐かしい感じはあったんですが
個人的に「面白い」という感情には結びつかなかったなぁ。


なんか早口すぎるのと、ボケがベタ過ぎる部分に
どうしても引っかかってしまって。
でも、スタンプめっちゃ押すのは笑いました。80点

ハリセンボン「お天気キャスター」(608点/4位)

この番組が始まる直前の日記で
「タレントしての面白さが出れば理想」
みたいな事を書きましたが、
いい感じでそういう風になってたんじゃないでしょうか?


いわゆるタレント活動している漫才師って
どうしてもネタになると
いつもテレビとかでやってる面白さが
出てこな人が多い中、珍しくそれが出来てるコンビ
だと思うんですよね。


だから僕の中で結構、高評価なんですが
いろんなブログでのレビュー見てると
評価ひっくいなぁw 85点

ダイアン「スカウト」(593点/7位)

「本来決勝に上げるべきレベルじゃない人を上げちゃった〜大阪編〜」
って所でしょうか?
オンバトでは結構面白かったんですが
まぁ、要するにオンバトレベルまでは行ってるけど
M-1レベルには達してないって事なんでしょうね。
(だから、オンバトにすら通らないのは
今回のダイアン以下という事です)


「ボケが舞台から掃けたり、袖から出てきたり」を
繰り返すという、彼らのネタとしては
結構斬新な事をやってるんですが
それもイマイチ不発に終わってしまってましたし。


っていうか、大阪から勝ち上がった4組のウチ
スケジュールの都合で大阪に来たキングコング以外の
生粋の大阪の若手3組(笑い飯、千鳥、ダイアン)が
揃って似たような事をやって撃沈してるのを見ると
ちょっと色の似通ったのばかり揃えすぎなんじゃないか?
と思ってしまいます。


っていうか、千鳥を入れた段階でもう
かなりのバクチ踏んでるんだから
それ以上のバクチを踏む事はないというか
素直にウケてたノンスタ選べば良かったのに…。65点

サンドウィッチマン「アンケート」(651点/1位)

いや、実は確かに「達者やなぁ」とは思ったんですが
そんなに僕のツボには入って来なかったんですよ。
だから、審査員がベタ褒めしてる時は正直ビックリしました。


まぁ、でもよく考えてみれば、今回の出場者の中では
確かに上位クラスに入るだけの実力者である事は確かです。


でも、準決勝で落とされたのは「金玉袋」が原因だと
僕は思ってます。
サンドウィッチマンは実力あるのに
こういう事(ネタフリで半勃起」っていったり)
をしちゃう人なんですよ。


今回は決勝の舞台なので流石にエエ子ちゃんモードでしたけど。85点


続いて最終決戦。

トータルテンボス「旅行代理店」(2票/2位)

最初、「あーコント漫才、しかも同じパターンかー」
と思ってたら、終盤にかけて新たな展開が!
と思ったら、その後早口すぎて何を言ってるのか
解らない状態に。


なんか、こういうトリッキーな事を狙おうとして
しくじった部分が、関東の芸人ながら
関西の芸人のような感じを醸し出してました。
天丼好きだし。


個人的には今年の漫才アワードの一回目にやったネタを
やって欲しかったし、あれをやれば優勝出来てたと思う。85点

キングコング「台風レポーター」(1票/3位)

うーん…一回目に比べると明らかに弱くなってるなー。
僕は一回目のが正直イマイチだと思ってたので
それを下回られるとキツイなぁ。75点

サンドウィッチマン宅配ピザ」(4票/1位)

前の二人がテンポが早すぎて付いて行けなかった分
この落ち着いたテンポが非常に心地よかった。


いろんな所で「一本目より弱い」と言われてるけど
僕はこっちの方が笑ったんですけどねぇ。
この瞬間にここの優勝を確信しました。90点


で、優勝はサンドウィッチマンでした。

総評

いや、確かにサンドウィッチマンが敗者復活からの
優勝は劇的で感動しましたが
正直、大会全体としてはどうもピリっとしないというか
逆に言えば「敗者復活からの優勝」というのが
なかったら、今回番組として、大会として
かなりしんどい事になってたような気がします。


いや、こんな事言うのもナンですけど
サンドウィッチマンも一昨年までなら、
「うまいけどギリギリベスト3入るか入らないか」
ぐらいのレベルでしょうし。


なんか、去年ぐらいから決勝進出者の出来が
どうも、僕の期待値を下回ってるんですよね。
いろんな所で言われてますけど
決勝進出者の人選に問題があるんじゃないかと
疑りたくなってしまいます。


来年は決勝進出者8組が
もう、どれが優勝してもおかしくない
と思えるような人選にして欲しいですね。


「バクチ的要素」とか「ちょっと毛色の違う」の
はせいぜい東京、大阪一組ずつぐらいでいいと思うんですけどねぇ。
(今回ならポイズンと千鳥の2組だけで充分だと思う)