嘉門達夫BOX~怒涛のビクター・シングルスDISC-5

さて「ビクター時代のシングル」としてラスト2年を収録した1枚になりました。

1 怒りのグルーヴ〜震災編〜(with泉谷しげる大江千里

まぁ、こういう事を「笑い」として扱う事の難しさってあって
僕の周りの被災した友人でも面白がってた人と
「こういう事はやって欲しくないなぁ」って言ってた人とパッカリ割れましたからね。


ただ、思い返してみると面白がってた友人はCDでこの曲を聞いてて
「やって欲しくない」と言ってた友人はブンリクのイベントで
嘉門達夫が一人で歌ってるのを聞いたので
やっぱり、泉谷しげるのツッコミがこういうお題を上手く笑いに変えてくれてるのかな?と。
CD聞いてても笑い所は彼のツッコミですからね。

2 怒りのグルーヴ〜宗教編〜

これ元の事件がテロだと考えると震災編より危険なんですけどね。
ここでも泉谷さんのツッコミ欲しかったけど流石にやばいかw

3 怒りのグルーヴ〜おとぎ話編〜

後にアルバムに入ったver.は少し付け加えがあるので
ほんのちょっとだけ短いです。
個人的には最初の赤ずきんちゃんが詰め詰めすぎるのが聴いてて違和感が。

4 怒りのグルーヴ〜団塊の世代編〜

誰に聞いても「これだけイマイチ」って言いますねw
まぁ、世の中がやれ震災だ、テロだって大変な事になってる時に
オッサンの愚痴どうでもええわな。
なんか最初の2曲が深刻な時事ネタで「おとぎ話」がくだらないお題なので
もう一個くだらないお題でやって欲しかったなぁ。
僕はラジごめでやってる「教科書の問題へツッコむコーナー」を
この曲に乗せてやってみてはどうか?と提案したんですが不採用になりました。

5 激突!ハンバーガーショップ

まず「今出してどうすんねん!」と。
あと、今回シングル化に至って「FUTAMATA」のような改悪がちょこちょこ目立ちますね。
「徹底したマニュアル教育行き届いた店員が、何故か半疑問形で対応する」という「あるあるの捏造」がここでも発生。
店長に直されるやろと。


これは実は後のアルバムver聞くと2番が深夜のテレフォンショッピング、3番はヤクザのハンバーガーショップ
なってるんですが、実は1番は「コギャルのハンバーガーショップ」にしようとしてたんですよ。
しかし嘉門達夫も老けたのか、この時代の若者文化は描写しきれずに、こんな中途半端な形で
名残を残してしまったという事です。いや、そこもカットしろよ!


余談ですが、この歌が発表されるだいぶ前に、かつて常連だったパルナス小僧氏が
「ウチのおかんは世界一」ってタイトルで「いろんな店の店員が大阪のおかんだったら」
って歌を送ったというのを嘉門達夫経由で「採用になるかも知れないけどもうひと押し何か欲しいネタ」、
としてFAXで送ってもらってたんですよ。その中にハンバーガーショップ編もあったので
それもシチュエーションのパターンとして入れたら良かったのになぁと。
コギャル→おかん→外人のテレフォンショッピング→ヤクザの4パターンって
ちゃんと作れたらかなり面白そうなんですけどねぇ。


で、シングルver.は真ん中の「外人のテレフォンショッピング編」をぬかして
2番でいきなりヤクザ編に入るんですが、アルバムverはちゃんとヤクザというコンセプトを活かした歌詞になってるのに
シングルver.はなぜかオリジナルの「俺がハンバーガーショップをやったら」パターンとほぼ同じ歌詞なんですよね。
まぁ、シングルでさらっと聴かせてアルバムで本気出すってパターンをやりたかったんでしょうけど、
試食でうっすい味のもの食べさせられて「売ってる商品はしっかりした味付けしてますよ!」
って言われても誰も買わないでしょう。
その辺「聴く人の事を余り考えて作ってないな」というのを感じました。

6 妄想

これは僕はかなり好きですねw ギター1本でここまで盛り上げられるのかという事で
嘉門達夫の真骨頂を見ました。
ただ、これにすぐ後に出るアルバム収録されるので、このシングルに入れた意味はあるのかな?とw

7 かもかもかものすけ

せっかくのタイアップ曲なのになぜこれをメインに持って来なかったんだろう?
しかも、タイアップ先はかのサンリオですよ!
サンリオブランドと嘉門達夫ブランド、どっちがメジャーなのかと言うとそれは一目瞭然じゃないですか。
なんかここで「子供向け」をちょっとナメてかかってるのが
この辺の年代のオッサンら(嘉門達夫をはじめ田村充義や新田一郎も)の良くない所だなぁと。

8 二十歳

これ作が「嘉門達夫と参勤交代」になってるけど
元はパルナス小僧氏のネタだったと思うんですよね。
ただ設定が成人式ではなく「子供が死んだ歳」という凄くブラックなものなんですが
設定を無難にすると途端に面白くなくなりましたね。
流石にそのままCDには入れられないでしょうけど。

9 ほっといてくれよ!2

アルバムからさらに1曲。
3番に急に「くだらない偏見で女を見る男への愚痴を女のキャラで歌ってるくだり」があるんですが
今まで散々ホモソ全開の男尊女卑なネタを歌い倒してた嘉門達夫
急にそんな事してもすげぇ嘘くさいですよね。


あとこのアルバムには一つ僕にとって腹の立つ思い出がありまして
それは「パ、パ、パ、パ」というトラックがあるんですが
本編の前にプロローグとして石焼き芋屋さんのコントがオペラ調で入ってるんですよね。
クレジットされないけど、あれ作者、僕なんですよ。
僕はあのコントは1曲目のツカミとして、普通にコントとしてやって欲しかったんですよね。
石焼き芋屋の蒸気の音(「ピー」ってやつ)をSEで入れて。
「い〜しや〜きいも〜」の声も拡声器で言ってるようにエフェクト入れて。
それが、よりにもよってオペラに変えられてて、あこまで変えたら意味が解らんがな!
なんかそこまで変えなイカンねやったらいっそ没にしてくれ!って思いました。


で、数か月後にこれをCMで鈴木蘭々に(正確に言うとCMスタッフにですが)パクられるわけですが
嘉門達夫が僕に「あれタイミングとか違うやんな」って言ってたけど
僕の頭の中ではあれをやって欲しかったんですよね。

10 TK替え唄メドレー

前回売れたものの完成度の低かった「サザン替え唄大メドレー」を払拭する
非常に全体的にレベルの高い替え唄メドレーが出来ました。
ただサザンに比べてあんまり売れなかったのを見ると
世間が嘉門達夫に求めてるのはそういう事ではないのかな…と。
僕は4部作に並ぶぐらいの出来だと思うんですけどね。

11 YAKINIKU POWER

嘉門達夫の焼肉奉行っぷりを聴かされてゲンナリする歌ですw
ちなみに後で「焼き肉のたれ」のCMタイアップが付いたらしいのですが
それタイアップ曲の意味あるの?

12 開いた口

これは僕作詞ですね。ショートソングINボトムラインの曲ををやってたツアーで
ツカミで歌ってたのがここで収録されました。

13 下腹部

これも僕作詞。「生理痛」と「タマ打った痛み」は同じじゃないか説は結構ネットでも見かけますね。
内臓を刺激するようなウチから来る痛みが共通するので、そういう説が出るのは納得できます。

14 テレホン電話相談室

「テレホン」「電話」がかぶっとるがなw
ジングルの歌のメロディはなんか耳に残りますね。

15 しゃぶしゃぶ

これも僕作詞。「開いた口」同様、ライブのツカミで歌われました。
でも、ごまだれとぽん酢のミックスだれって美味しいらしいですねw

16 男と女

没テープに「心理描写」として入ってた曲ですね。
採用されてもおかしくないネタだったので
やっぱりタイミングだったんでしょうね。

17 TK替え唄メドレー2

収録順が微妙に時系列を前後します。
なんか主要曲をほとんど1で使ってしまったために勢いが落ちますね。
「I'm proud」ぐらいかなぁ?1のラインナップに匹敵する出来なの。

18 ラーメンパワー

嘉門達夫にラーメンのウンチクを聴かされてゲンナリする歌ですw
なんかそういう意味も含めて「ラーメンにハマる」っていうのが
凄く彼らしいめんどくさい部分ですよね。
そのめんどくささは、このCDの後のトラックに入ってる
「ドラマチックラーメン」を聞くとさらによくわかると思います。


以下、ボーナストラックとしておまけテープが入ってますが
あくまでもオマケでレビューを書くほどでもないので
CDのレビューはここまでにします。

総評

前年のマンスリーCDリリース計画でパワーを使い果たしたのか
CDの発売ペースが急に遅くなりました。
まぁ「怒りのグルーヴ」はいいとして、1年経って通常モードに戻って出たシングルが
ハンバーガーショップの焼き直し(しかも劣化版)」
アルバムもやたらショートソングの数が増え「ネタ切れ感」がどうしても否めませんでしたね。
そしてビクター最後のシングルが「替え唄メドレー」で
アルバムも「替え唄メドレー」のベストアルバムと
なんか「結局替え唄メドレー便りかぁ」と思わせる残念なラストになりました。
まぁDAIPRO-Xに移籍しての第1弾シングルが「新替え唄メドレー」だったりするんですが(^_^;